201 その頃、私は海岸近くの住宅工事を請け負ってました。 季節は7月初旬で昼休みには海岸で弁当を食うのが日課でした。 初めは一人で食べに行ってましたが、途中から仲良くなった同年代の下請け職人も 誘って一緒に食べに行くようになりました。 何時ものように海岸に行くと、普段は人気の無い海岸ですが、 その日は10〜12歳位の子供が4人程、波打ち際で遊んでました。 ちなみにココの海は遊泳禁止となってはいましたが、私も子供の頃はココで仲間と泳いだりした事もあったので特に気にもしませんでした。 その日も海岸で弁当を食おうかと思っていたら、A君が 「今日は日差しが強くて暑いから、現場内の日陰で食おうぜ」 と言って来たので、まぁ確かにその日は特に陽射しが強くて外で食うには暑すぎる、と思ってその場を去りました。 あいつ等2015/06/22 02:12
202 現場内の日陰で弁当を食べていると、何やら外が騒がしい。 パトカーやヘリが飛んでる音も聞こえる。 何だろか?と思って外を見に行こうとAを誘いました。 A「あ〜俺は辞めとく。」 私は外が気になって仕方が無いのでAは置いて、他の職人さん達と一緒に野次馬に行きました。 どうやら人だかりが出来ているのは何時も私がAと飯を食っていた海岸でした。 既に集まっていた野次馬に話しを聞いてみると海で遊んでいた子供が一人、波に飲まれて行方不明だと。 確かにさっきまで海岸で遊んでいた子供の数が一人減っていましたT-T 私は後悔しました。 何時も通りこの海岸で弁当を食べていれば、波に飲まれた子供をいち早く発見できたし、泳ぎにも自信がありましたので、もしかしたら助ける事も出来たのではないかと。 少し後ろめたい気分になってAの所まで戻り、Aに海岸での事を話しました。 「今日もあそこで飯食ってたら、俺らが何か出来たかもしれないよな」 と私が言うとAが 「ははは、無理だって。だから俺は今日あそこで飯食うの嫌だったんよ」 あいつ等2015/06/22 02:14
203 私は意味が解らなかったのでAに詳しく話を聞いてみると A:「あそこって遊泳禁止なだけあって色々とある訳で、こんな事言うからって変な目で見ないで欲しいんだけど 色々とある訳よ。 お前はソッチ系には疎いみたいだから言わないでおいたんだけど、現場の中で弁当喰った方が涼しいのに何でお前は毎日海岸で弁当食べたがったの?」 私:「そりゃ、海見ながら外で飯喰った方が美味いと思って・・・。」 A:「その割にはお前は、毎日暑い、暑い言いながら弁当喰って弁当喰い終わったらスグに事務所戻って涼んでただろ?」 そう言われると、確かに海岸で弁当喰い始めたキッカケは海見ながら食べた方が気持ち良いと思ったのですが2日目以降は、何であんなに日陰も無いクソ暑い場所で弁当を食い続けてたのか我ながら不思議に思いました。 A「”あいつ等”の狙いは初めからお前で、ず〜っとお前は”あいつ等”に呼ばれてたんだよ」 私「???」 Aは初めて現場で私に会った時も、私が海にいる”あいつ等”から誘われてるのを感じていたらしい。 あいつ等2015/06/22 02:19
204 とは言ってもそんな事を初対面、しかも元請の監督に真顔で話しても馬鹿にされるし、下手したら追い出されるだけなので、毎日弁当に付き合って監視してたらしい。 Aは私が”あいつ等”に誘われてるのは解っていたけど、中々その”あいつ等”の姿をAも見ることは出来なかった。 どうやら霊?の方は一方的に私に意識チャンネルみたいな物を合わせ、もっと波際まで引き寄せたがって居るらしかったのですが、肝心の私が鈍すぎて手こずってたらしい。 A:「だから”あいつ等”は、お前の目の前で子供を海に引き込もうとした訳だ。 ”あいつ等”からしたら子供の方が、頭が固いお前と違って誘い易いしな。 そうすれば、お前が子供を助けに海に入ってくる事を知ってたんだなぁ、”あいつ等”は。 まぁ俺が邪魔したから子供が身代わりになっちゃった訳だけど・・・。 今日は”あいつ等”とピッタリ波長が合う子供が遊びに来たせいか、今日は俺の目にもハッキリ”あいつ等”が見えたよ。 俺がお前を海岸から連れ戻した時の奴らの雰囲気は俺もちょっと怖かったよ、本命のお前を連れ戻されて怒ったのかなw」 とAが笑いながら話してくれました。 あいつ等2015/06/22 02:20