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河村姉妹ファンスレ-29
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>>903
悪質やんw
防犯カメラにうつる年末年始の◯◯Gメンみたいだね
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>>904
やっぱ大阪関西で育つと関東の人とはやっぱり違うから引かれる。
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聖セントアレキセイ寺院の殺人事件に法水が解決を公表しなかったので、そろそろ迷宮入りの噂うわさが立ちはじめた十日目のこと、その日から捜査関係の主脳部は、ラザレフ殺害者の追求を放棄しなければならなくなった。
と云うのは、四百年の昔から纏綿としていて、臼杵耶蘇会神学林ジェスイットセミナリオ以来の神聖家族と云われる降矢木の館に、突如真黒い風みたいな毒殺者の彷徨が始まったからであった。
その、通称黒死館と呼ばれる降矢木の館には、いつか必ずこういう不思議な恐怖が起らずにはいまいと噂されていた。
勿論そういう臆測を生むについては、ボスフォラス以東にただ一つしかないと云われる降矢木家の建物が、明らかに重大な理由の一つとなっているのだった。
その豪壮を極めたケルト・ルネサンス式の城館シャトウを見慣れた今日でさえも、尖塔や櫓楼の量線からくる奇異ふしぎな感覚――まるでマッケイの古めかしい地理本の插画でも見るような感じは、いつになっても変らないのである。
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ちょうど天然の変色が、荒れ寂れた斑を作りながら石面を蝕むしばんでゆくように、いつとはなく、この館を包みはじめた狭霧のようなものがあった。
そうして、やがては館全体を朧気な秘密の塊としか見せなくなったのであるが、その妖気のようなものと云うのは、実を云うと、館の内部に積り重なっていった謎の数々にあったので、勿論あのプロヴァンス城壁を模したと云われる、周囲の壁廓ではなかったのだ。
事実、建設以来三度にわたって、怪奇な死の連鎖を思わせる動機不明の変死事件があり、それに加えて、当主旗太郎以外の家族の中に、門外不出の弦楽四重奏団ストリング・カルテットを形成している四人の異国人がいて、その人達が、揺籃の頃から四十年もの永い間、館から外へは一歩も出ずにいると云ったら……、そういう伝え聞きの尾に鰭が附いて、それが黒死館の本体の前で、鉛色をした蒸気の壁のように立ちはだかってしまうのだった。
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パテル! ホモ スム!
PATER HOMO SUM
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「父よ、吾も人の子なり――」
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一、父よ、吾も人の子なりの考察――。
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すでにそれは、如何とも否定し難い物云う表徴テルテール・シムボルである。しかし、算哲が自説の勝利に対する狂的な執着からして、四人の異国人を帰化入籍させたのみならず、常軌を逸した遺言書を作ったり、また屍様図を描き魔法典焚書を行ったりして、犯罪方法を暗示したり捜査の攪乱をあらかじめ企てたという事が、はたして、三人のうちのどの一人に衝動を与えたか――その決定は勿論疑問なのだった。と云うものの、その父パテル――の一語は、明白に旗太郎もしくは、セレナ夫人を指していて、あるいは旗太郎が、遺産に関する暴挙に復仇したものか、それともセレナ夫人が、なんらかの動機から、算哲の真意を知ることが出来て――それには、法水の狂的な幻影としか思われない、屍様図の半葉が暗示されてくるのであるが――もしそうだとすれば、夫人の矜恃の中に動いている絶対の世界が、あるいは、世にもグロテスクな、この爆発を起させたかもしれないのである。そうして、その意志表示が、吾も人の子なりホモ・スム――の一句に相違ないのだけれども、仮りにもしそれが偽作だとすれば、今度は押鐘津多子を、この狂文の作者に推定しなければならない。
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