反ワクチン活動という心の解毒剤
結論を先取りすると、被害妄想が渦巻く陰謀論に刺激された反ワクチンなどの抗議デモは、コロナ禍で進んだ社会不安と孤独感の増大を一挙に解消できるものとして強力なポテンシャルを持っており、社会心理学者のダニエル・ジョリーが言うように、不全感や社会的な排除に対する「完璧な解毒剤」として機能する(Why the Pandemic is Turning So Many People into Conspiracy Theorists/2020年5月12日/DISCOVER)。
人々が強い目的意識に促されて運動化・組織化することで連帯と大義を失った現代社会において架空の敵と戦う勇者や戦士を作り出し、人々の命を守る崇高なミッションを担う壮大な物語の一部になれるという希望を与える。もはや数多の学者が口を酸っぱくして語る事実の検証などはどうでもよく、共通の世界観にのめり込むことで得られる享楽こそが至上の価値となるのだ。
人々が強い目的意識に促されて運動化・組織化することで連帯と大義を失った現代社会において架空の敵と戦う勇者や戦士を作り出し、人々の命を守る崇高なミッションを担う壮大な物語の一部になれるという希望を与える。もはや数多の学者が口を酸っぱくして語る事実の検証などはどうでもよく、共通の世界観にのめり込むことで得られる享楽こそが至上の価値となるのだ。