148 というのも、そう、小松佳子に連絡をしていたからだ。小松佳子は、まさか、吉原時代から旧知の仲である安羅木が犯人とは露ほども思っていない。なので、西田美幸の遺体が平和島で発見された時の様子、警察で受けた事情聴取の内容などをペラペラと彼に話したのだ。しかし、安羅木が気がかりなのは、あの写真である。彼が、佐山治の死体を秩父に運んだ日に、あの現場で撮られた写真だ。何とかして、美幸のマンションに再度侵入し、探せないものか。 匿名さん2012/09/09 03:42
149 今日も、安羅木は、エンペラーのフロントでそればかりを考えている。・・・・・西田美幸の部屋に入った捜査員2名。前に侵入した安羅木と同じく、怪しげな青光を部屋全体に照らす熱帯魚の大型水槽に面を食らう。主任刑事である大崎努。背が低く細身の体で、眼光が鋭い禿げ頭。1975年(昭和50年)に警視庁に入庁。現場一筋であった。数々の難事件を解決してきた大崎の捜査手腕は、警察内部で高く評価されている。室内をグルっと一瞥し、見渡す大崎。居間〜キッチン〜浴室を一通りチェックする。 匿名さん2012/09/09 03:42
150 そして、鋭い目が光る。(大崎)「星(犯人)は、この部屋に来てるね。」「見ろ。あの大型テレビの上に積まれているファッション雑誌。一番上の雑誌だけ埃がついていないだろ?」「被害者は几帳面な性格だと、鶯谷デリの女店長が証言していた。なのに、浴室隣の洗濯機横に積まれたタオル。くしゃくしゃだぞ。衣類もそう。几帳面な女が畳んだように見えない。」 すると、まだ20代か?若い刑事が大崎に問いかける。『犯人は、現金を盗む目的だったのでしょうか?』 匿名さん2012/09/09 03:43
151 大崎)「ん〜。違うだろ。金を探すのに、いちいちタオルまで広げて見る奴がいるか!?被害者のバッグやカバン、財布類がこの部屋にない。犯人が持ち去ったんだろ。金目的なら、被害者のキャッシュカードやクレジットカードにとっくに手をつけてるはずだ。しかし、被害者のカードで、現金が引き出された形跡はないだろう。」「となると....星(犯人)は、世間様に見られたら困る何かを探していたんだ。それを被害者が所持しているのを知っていた。.......」 匿名さん2012/09/09 03:43
152 「女店長が、被害者は最近、金まわりが良くなっていたと。そう言ってたよな?」(若刑事)『はい。』(大崎)「もしかすると、被害者は、星(犯人)をゆすっていたんじゃないか?.....それで、逆に被害者は消されてしまった。わからんよ。あくまでも俺の邪推だよ邪推(笑)。」 現場で捜査経験を積み重ねてきたベテラン刑事。さすがという他はない。(大崎)「今日のところは、これで引き上げる。明日また来よう。」(若刑事)『はい。』(大崎)「ち、ちょっと待て!あれは何だ?!』 匿名さん2012/09/09 03:44
153 大崎は、大水槽に指をさす。若刑事は、大水槽に目を移すが、ただ、カラフルな熱帯魚群しか目に入らない。しかし、大崎は何かを見つけたようだ。・・・・・・・・(次回に続く) 匿名さん2012/09/09 03:44
154 【小説】「愛の蹉跌」=第16回= ここは、埼玉県さいたま市浦和区にある埼玉県警察本部。そこの職員食堂に秩父東警察署の高原雅浩刑事の姿があった。日替わり定食500円。14時。遅い昼食をとる。高原は、県警本部近くにある‘さいたま拘置支所’を訪れるため、秩父から足を運んできたのだ。ヤミ金大手元締めの「二光エステート金融」社長が勾留されている。彼に面会を申し入れ、話を聞いてきた。・・・・ 匿名さん2012/09/09 14:53
155 (高原刑事)「殺害されたお前の元部下、佐山治だが、ヤミ金以外に何か商売をやっていたとか。そういう話。聞いたことある?」(社長)『んーそれは知らんわ。住田会系893組員の紹介でうちにきたんが2007年の暮れやったかな?ボロ服着とって、汚いなりしてたわ。 もともとワキガでな。よけい臭いんや。もうたまらん臭さだったの、よぉ覚えとるさかい。』『ま、刑事さんが言うてはる通りでね、うちの稼ぎだけで渋谷のマンション住んで、BMW乗り回す。不可能やな。』 匿名さん2012/09/09 14:53
156 (高原)「つまり、他に収入源があったと?」(社長)『そうやな。俺だってさ、山菱組竹見組の若衆だった昔な、いろいろやってきたんや。刑事さんとっくに俺の過去しっとるやろ?』(高原)「ああ。」(社長)『大阪で暴れまわってね。自分で金の匂い嗅ぎつけ、自分で稼ぐ。組織のおこぼれ当てにしとうたらあかんやろ。』・・・・・・・「やはり、佐山は、ヤミ金以外の何かで儲けていた。いったい何をやっていたんだろ。それが分かれば一気に突破口が開けるのに...クソ!」 匿名さん2012/09/09 14:53
157 高原は、日替わり定食のメンチカツを箸で突き刺した。・・・・・・それから数日後、・・・・・・・・ 東京都墨田区の曳船駅近くの古びたアパート2階から、1人の男が下りて来た。午前8時半。ちょうど仕事にでかける時刻だ。男は、競馬雑誌「ジャロップ」と競馬新聞を手にもっていた。アパート前に駐車してあるスクーターに乗ったそのとき、3名の男性がスクーターの脇に駆け寄ってくる。「んだよおめえら!!」『久しぶりだな(笑)平野田!』「えっ、あ、大崎さん.....」 匿名さん2012/09/09 14:54