281 276つづき 厨房での一件があってから、夏も一番良い時期を迎え、週末は常にクラブイベントが入る状況が続いていました。 イベントは成功すればドリンク収入だけで昼間の売り上げを超える事もありますが、コケてしまうと時間と労力の無駄になってしまうのです。 その日は主催者が告知を怠ったことが原因で、まさに大きくコケてしまい早々に撤収させたのですが、一度帰宅して数時間後にまた遠い店に来ることを考えると店に泊まることを選択しました。他の仲間は車中泊を選択し、車中泊すら出来ない2シーターに乗っていた私は渋々通称「VIPルーム」に寝ることにしました。 つづく 主2021/06/04 23:104FkqoEEBMI
282 281つづき 夏真っ盛りの海の家の仕事に疲れ切っていたせいでスッと眠りに落ちた私は、2時間ほど経った午前3時ごろにふいに気配を感じて目を覚ましました。 断片的に目が覚める癖がある私は、その時も体の疲れとは裏腹に、頭が覚醒していたのか、物音に敏感に反応しました。 VIPルームは、例の厨房と隣接していると同時に、裏口の扉がある部屋でもありました。ちょうどソファーが対で二つあり、裏口がのソファーで寝ていた私は、裏口の扉が静かに開くような音で目が覚めました。ふと、背後にある扉に目を向けると、暗闇の中で女性のような人影が私の背後に立っていたのです。 私は半分寝ぼけていた感じでしたが、背筋が凍るような思いで、その人影を凝視しました。 そして、その人影は明らかに子供か何かを抱いているようなシルエットでした。 つづく 主2021/06/04 23:204FkqoEEBMI
283 282つづき 私は例の厨房から手が出てくる一件があったばかりだということもあり、ついに大物が出たと思い、思わず「ウオッ」と声をあげてしまったのです。 それと同時にその人影も、後退りする様に後退し「ご、ごめんなさい…」と声を出したので、良く良く見てみると、毎日子連れで遊びに来るシングルマザーのK子という女でした。 しかも、抱いていたのは彼女のむすめで、K子はなんと夜が明ける前の午前3時に子連れで海に来たのでした。私は「いくらなんでも早いぞお前、しかも子ども連れて」と言うと「最近、週末は駐車場混むから入らないかと思い早く来た」とのことでした。私は「とりあえず8時まで店は開けられないから、反対側のソファーで娘と寝てくれ」と言い、K子とその娘を部屋に入れ、寝かせて再度寝ることにしました。 その1時間後ほどに、また今度は思わぬ来客に遭遇することになるのです。 つづく 主2021/06/04 23:334FkqoEEBMI
285 283つづき 早すぎる来客に脅かされつつも、私はそのまま少しの睡眠を貪ることにしてすんなり二度寝に入り、1時間ほど寝たでしょうか…。また、何かの気配を感じた私は重たいまぶたを少しだけ開けて見たところ…今度はしっかり男と思わしき誰かが店の中を彷徨いてるのです。 わたしはもう驚く事なく、酔っ払いが勝手な入ってきたと思いつつ、もう声をかけるのも面倒なのと、ここで起きたら三度寝は難しい、今日の営業の事を考えると、まだ眠っていたかったので薄目でその男の動向を少しの間見ていました。 その男は白地に緑の柄が入ったプルオーバーのようなジャケットを着ていて、ただひたすらメインホールをウロウロしていました。 私は不思議とその男に対して、何か悪さをするような危機感みたいなものは一才感じなく、大丈夫だろう、そのうち出ていくだろうと狸寝入りを決め込んだのですが、そのまま深く三度寝をしてしまったのです。 つづきはまた後日に 主2021/06/08 01:284FkqoEEBMI