257 256つづき その子は料理が出来ないのに、なぜに海の家の厨房で働こうと思ったのか。いざ来てみたら想像と現実のギャップに驚いて腰が引けてしまったというのが本当のところだったのでしょうが、それにしても米も炊けない、包丁も使えないと言い出したときは軽く怒りを感じたのを記憶してます。 本当は米も炊けるし料理も出来たのだけど、いざ来てみたら辞めたくなったから出来ないと言ったのか…。真相はわかりませんが、その一日でバイトを飛んだその女の子について一つ不可解なことがあったのです。そしてそれはいまだに解決していないというか、謎のままなのです。 その子が誰の紹介で、どういう脈絡でうちの店にバイトに来ることになったのかスタッフ全員誰も知らなかったのです。 つづく 主2021/05/31 19:56
258 257つづき 翌日その子が来ないので連絡をしようということになり、誰も連絡先を知らないということで発覚したのですが、それなら誰の紹介で誰繋がりだ?という段階で誰も知らないというのです。もちろん私は知るはずもなく、てっきり厨房任せきりにされていた仲間が見つけて来たものだと思ったら、彼も「知らない」というのです。私はバイトとが来るということを、誰というわけでもなくバイト見つかったんだってねぐらいの話をお客さんから聞いたのか仲間から聞いたのか分からないけど、他力本願的に「あー見たかったんだ良かった」ぐらいにしか思ってなかったのですが、スタッフ全員が同じようなことを言うので埒があかない状況になってしまったのです。その時は次の人を探すことで頭がいっぱいで、オカルト的に受け止めてなかったのですが、後年になり「あれは気持ち悪かった」という話になり、思えばその女の子が二十代であまりパッとしない口数が以上に少なく暗い感じの子ということは記憶にあるのですが、誰も名前も顔もはっきりしない、というのです。 つづく 主2021/05/31 20:06
259 258つづき そんなこともあり、いよいよちゃんとした山賊の厨房係を見つけることに私が本腰を入れたところ、他の土地から出稼ぎに来ていた若い男の子がぜひやらせてくださいというので、一ヶ月20万円で働いてもらうことになったのです。その彼は前段の子のように誰なのか分からないということはなく、わたしの知り合いの店で働いて地元に帰るからどうか迷ってるいた男を誘ったので身元ははっきりしていました。 その彼は黙々と料理していたのですが、水着の若い女の子とも遊ばず次第に暗くなってきたので、辞められてはたまらないので、たまに厨房から上げてダーツやらせたら酒を飲ませたりして、飴ムチでなんとか引っ張っていました。しかし、イケメンの彼はいつのまにか客の若い女性と付き合いだして同棲までしていたことが発覚し、私を含め嫉妬に狂った他の共同経営者から酷く怒られる羽目になったのです。 つづく 主2021/05/31 20:30
260 259つづき いちおうルールとして店のお客さんに手を出さないというのが店内規則で、ましてや経営の責任も負わないバイトに真っ先に風紀を乱されたと皆が起こり始めたので、連れてきた私の責任もあるので、彼と話し合った結果、女とは別れるのでこのまま働かせて欲しいという結論に至ったのでした。そして、約束通り別れたのは良いのですが、女の家を出たら家がない、と言うのです。 つづく 主2021/05/31 20:31
261 260つづき 家が無いと言われこちらが困っていたら、彼が「店に店泊してもよいですか?」とこう提案してきたのです。私はいちおう他の仲間の了解を得て、店の酒や食い物を勝手に飲んだり食ったりしない、友達や客を深夜に勝手に呼んで騒がない等の諸々の約束を交わした上で、海の家で寝泊まりをすることを許可しました。 そして、大事なことを最後につたえました「噂を聞いてると思うけど、この店には出るぞ…」と。 彼の反応はあっさりとしたもので彼は軽く笑いながら「自分そういう系まったく信じないんで」というものでした。 しかし、彼は後日一人で寝泊りする店内で深夜にとんでもないモノを見たと言い出すことになるのです。 つづく 主2021/05/31 20:53