2. 「制約されたエネルギー消費モデル」の提唱
* 論文「Constrained Total Energy Expenditure and the Evolutionary Biology of Physical Activity」:この論文や、著書『燃費の良い身体』では、このハッザ族の研究結果を説明するために、「制約されたエネルギー消費モデル」が提唱されています。
* モデルの内容: このモデルは、「総エネルギー消費量には上限があり、身体活動によって消費が増えると、体は他の生理的プロセス(免疫、ストレス応答など)のエネルギー消費を抑えることで、総消費量を一定の範囲に保とうとする」と説明しています。
したがって、「ハッザ族は長期的に適応している」や「運動不足の欧米人が急に運動すると極限状態になる」といった説明は、これらの論文で示されたデータとモデルから導き出される結論を分かりやすく要約したものです。
論文2: 「Constrained Total Energy Expenditure and the Evolutionary Biology of Physical Activity」 (Evolutionary Anthropology, 2012年)
* この論文で提唱された**「制約されたエネルギー消費モデル(constrained energy expenditure model)」**こそが、核心です。
* このモデルは、1日の総エネルギー消費量には生理学的な上限があると主張しています。
論文から導き出される論理
これらの論文の結論を組み合わせると、
* 「寝っ転がってたら上限にはたっしません」: ポンツァー氏のモデルが「上限」の存在を前提としている以上、日常的に活動量の少ない人は、当然その上限に達していません。論文は、ハッザ族が高い活動量を維持している一方で、欧米人が低い活動レベルにあることをデータで示しています。