改革は指先から―。巨人の高木勇人投手（２８）が１日、秋季宮崎キャンプのテーマを「変化」とし、生まれ変わる決意を示した。初日から参加全１３投手がブルペン入りする中、投手最多の１５０球。熱投する爪先はピカピカに光っていた。
　「爪が弱くならないようにプロのネイルトレーナーにケアしてもらいました。爪を強くしてボールに変化があるのか試しています」
　投手は指先に負担がかかり、爪が割れることがある。そのため、キャンプ前に専門家にケアを依頼。人さし指と薬指の爪に専用のジェルをつけて硬化させ、それ以外の爪もきれいに磨き上げた。
　３年目の今季は１６登板で（２先発）１勝２敗と１軍に定着できなかった。「今まで通りやっても、今まで通りにしかならない。この秋は変化を求めてやっていきます」。ネイルケアも来季に懸ける強い思いの表れだ。

　巨人の高木勇人投手（２８）が２日、秋季宮崎キャンプで２日連続ブルペンに入った。
　初日の前日１日は参加投手最多の１５０球。連投となったこの日も１１０球を投じた。
　３年目の今季は開幕から好調だったが、先発した４月１９日のヤクルト戦（鹿児島）で負傷降板して登録抹消。１軍では１６登板で１勝２敗だった。この秋は「変化」をテーマに掲げて「いろいろ試しながらやっていきます」と何かを変える決意で臨んでいる。

　秋季キャンプ第1クール2日目｡前日の150球に続き､きょうも110球と､連日の100球超えの力投を見せたのが高木勇投手｡
　投球練習後､斎藤コーチから注意点を指摘され､熱心に聞き入っていました｡

　秋季キャンプ第1クール5日目｡ひむかスタジアムの投内連係の練習では､無死一､三塁などの想定で､井端コーチがノック｡バントかと思えば､正面に鋭い打球を飛ばしたりと変幻自在のバットさばき､体の脇を通り抜けようかという打球を捕った高木勇投手｡｢ナイスキャッチ｣の声が飛んでいました｡

　宮崎秋季キャンプ第2クール初日｡鹿取義隆GM(後方)が視察に訪れました｡巨人や西武で救援投手として活躍したGMらしく､早速､高木勇(手前)､池田､高木京の3投手が投げ込むブルペンへ｡斎藤コーチに身振り手振りを交えて質問したり､選手にアドバイスしたりしていました｡ブルペン視察後は､｢みな､いいものを持っているからね｡ぜひ活用しないといけないよね｣と話していました｡

　巨人の３人の「レジェンド」が８日、チーム改革に乗り出した。秋季宮崎キャンプを視察に訪れた鹿取義隆ＧＭ（６０）が、ブルペンで高木勇にカットボールの投げ方などを異例の直接指導。この日から合流した吉村禎章打撃総合コーチ（５４）は、初日から身ぶり手ぶりで熱血指導し、川相昌弘２軍監督（５３）は全選手の前で約４０分間のバント講座。４位からの巻き返しへ、レベルアップを目指す共通の思いをナインに伝えた。
　チーム再建への熱い思いが行動に表れた。ブルペンを視察した鹿取ＧＭは、力投する高木勇に注目。マウンド後方から観察し、豊田投手コーチに現在の取り組みなどを確認して共有した上で、スーツのまま身ぶり手ぶり助言を始めた。「手首を立てて投げてみな。真ん中を狙って投げれば大丈夫だから」。右腕が得意とするカットボールの投げ方について極意を伝授した。
　他球団では中日・落合ＧＭの例はあるが、編成トップの直接指導は異例だ。現役時代、スライダーを得意として通算９１勝１３１セーブの鹿取ＧＭは、コーチ経験も豊富。今季１勝の高木勇を何とかしたい一心で動き回り、捕手の後ろなど角度を変えながら見守った。

　もともと彼はいいものは持っているからね。（カットボールの）曲がりを縦にした方がいい。今のままではいい打者は振ってくれないと思った

　かつて原前監督が「高木ボール」と称したカットボールは最近、横に大きく曲がりすぎる傾向にあった。それが、ＧＭの助言もあり鋭く縦に曲がる軌道に改良。「鹿取カット」をものにしようと１６４球熱投した高木勇は「細かい技術を教えてもらった。すごい緊張感でした」と感激した。
　野手部門も新風が吹いた。新任の吉村打撃総合コーチがこの日から合流し、いきなり熱血指導を展開した。ティー打撃で自ら内角打ちの手本を実演。岡本らに「練習は全部、本塁打を狙うくらい振れ」と強振指令を出し「もっと伸びる」と若手の能力の高さを実感した。今後も二岡、小関両打撃コーチと３人体制の打力強化に期待がかかる。
　侍ジャパン合宿のためチームを離れた井端内野守備走塁コーチに代わって合流した川相２軍監督は、木の花ドームで参加全選手を集めて４０分間バント講座を実施。「形、バットの握り方、目との距離感などを伝えた」と自ら実演し、世界記録通算５３３犠打の技を披露した。今季１２球団最低の成功率７割１分８厘からの改善へ、今後も指導を継続する考えを示した。

　１日から始まった秋季キャンプでは由伸監督、斎藤雅樹投手コーチら、かつての名選手が若手を徹底的に強化。第２クール初日のこの日、新たなレジェンドが加わり、連日９時間超えの猛練習はさらに密度が濃くなった。
　◆鹿取　義隆（かとり・よしたか）１９５７年３月１０日、高知県生まれ。６０歳。高知商、明大を経て、７８年ドラフト外で巨人入団。西武に移籍した９０年に最優秀救援投手。９７年に引退後は巨人１軍投手コーチ、ヘッドコーチ、２００６年ＷＢＣ日本代表投手コーチなどを歴任し、６月から巨人のＧＭに就任。通算７５５試合で９１勝４６敗１３１セーブ、防御率２・７６。右投右打。
　◆吉村　禎章（よしむら・さだあき）１９６３年４月２７日、奈良県生まれ。５４歳。ＰＬ学園高から８１年ドラフト３位で巨人に入団。８８年に左ひざ十字じん帯損傷の大けがを負うが、奇跡の復活を遂げた。９８年引退。巨人の１軍打撃コーチ、２軍監督などを歴任。来季は７年ぶりに復帰し、打撃総合コーチ。通算１３４９試合で打率２割９分６厘、１４９本塁打、５３５打点。左投左打。

　◆川相　昌弘（かわい・まさひろ）１９６４年９月２７日、岡山県生まれ。５３歳。岡山南高から８２年ドラフト４位で巨人に入団。ベストナイン１度、ゴールデン・グラブ賞６度。通算犠打５３３は世界記録。２００６年に引退後、中日の２軍監督、巨人ヘッドコーチ、２軍監督、３軍監督などを歴任し、来季は２軍監督。通算１９０９試合、打率２割６分６厘、４３本塁打、３２２打点。右投右打。