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【ペン専用】SUPERNOVA(旧 超新星)★-82
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091
「党が公認として決めた候補を応援する。非公認と決めた候補を応援しない。党の筋を守っただけだ」石田はその巨体をゆすり上げるように立ち上がった。三木の顔も だれの顔も見ることなく その会議の席を出ていってしまった。後に白々しい空気が残った。三木は心中では―久次米が勝ったあと いまさら問題にせんでもよかった。いい過ぎたか。という後悔の色があった。しかしそういった三木の心理など無視して 若手たちは石田が去ったのをさいわい強硬論を打ち出した。
「久次米を応援しなかった連中は三木派から出て行ってもらおう」
「このさい橋本幹事長以下党執行部に公認問題の失敗、敗北の責任をとって辞めてもらうように要求すべきではないか。そこから始めないと党の改革も近代化も出来ない」
空気はいっそう激しく よりラジカルな意見も出された。「三木副総理自体、その進退を考えてもらいたい」あからさまに田中内閣を去れとはいわないまでも それを求める声であった。
三木はいちいちうなずくような表情で耳を傾けていた。多くの意見を闘わせた後で井出一太郎が
「わが派としていかに行動するかは この際 三木先生に一任しましょう」といった。
092
「党が公認として決めた候補を応援する。非公認と決めた候補を応援しない。党の筋を守っただけだ」石田はその巨体をゆすり上げるように立ち上がった。三木の顔も だれの顔も見ることなく その会議の席を出ていってしまった。後に白々しい空気が残った。三木は心中では―久次米が勝ったあと いまさら問題にせんでもよかった。いい過ぎたか。という後悔の色があった。しかしそういった三木の心理など無視して 若手たちは石田が去ったのをさいわい強硬論を打ち出した。
「久次米を応援しなかった連中は三木派から出て行ってもらおう」
「このさい橋本幹事長以下党執行部に公認問題の失敗、敗北の責任をとって辞めてもらうように要求すべきではないか。そこから始めないと党の改革も近代化も出来ない」
空気はいっそう激しく よりラジカルな意見も出された。「三木副総理自体、その進退を考えてもらいたい」あからさまに田中内閣を去れとはいわないまでも それを求める声であった。
三木はいちいちうなずくような表情で耳を傾けていた。多くの意見を闘わせた後で井出一太郎が
「わが派としていかに行動するかは この際 三木先生に一任しましょう」といった。
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「党が公認として決めた候補を応援する。非公認と決めた候補を応援しない。党の筋を守っただけだ」石田はその巨体をゆすり上げるように立ち上がった。三木の顔も だれの顔も見ることなく その会議の席を出ていってしまった。後に白々しい空気が残った。三木は心中では―久次米が勝ったあと いまさら問題にせんでもよかった。いい過ぎたか。という後悔の色があった。しかしそういった三木の心理など無視して 若手たちは石田が去ったのをさいわい強硬論を打ち出した。
「久次米を応援しなかった連中は三木派から出て行ってもらおう」
「このさい橋本幹事長以下党執行部に公認問題の失敗、敗北の責任をとって辞めてもらうように要求すべきではないか。そこから始めないと党の改革も近代化も出来ない」
空気はいっそう激しく よりラジカルな意見も出された。「三木副総理自体、その進退を考えてもらいたい」あからさまに田中内閣を去れとはいわないまでも それを求める声であった。
三木はいちいちうなずくような表情で耳を傾けていた。多くの意見を闘わせた後で井出一太郎が
「わが派としていかに行動するかは この際、三木先生に一任しましょう」といった。
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「党が公認として決めた候補を応援する。非公認と決めた候補を応援しない。党の筋を守っただけだ」石田はその巨体をゆすり上げるように立ち上がった。三木の顔も だれの顔も見ることなく その会議の席を出ていってしまった。後に白々しい空気が残った。三木は心中では―久次米が勝ったあと いまさら問題にせんでもよかった。いい過ぎたか。という後悔の色があった。しかしそういった三木の心理など無視して 若手たちは石田が去ったのをさいわい強硬論を打ち出した。
「久次米を応援しなかった連中は三木派から出て行ってもらおう」
「このさい橋本幹事長以下党執行部に公認問題の失敗、敗北の責任をとって辞めてもらうように要求すべきではないか。そこから始めないと党の改革も近代化も出来ない」
空気はいっそう激しく よりラジカルな意見も出された。「三木副総理自体、その進退を考えてもらいたい」あからさまに田中内閣を去れとはいわないまでも それを求める声であった。
三木はいちいちうなずくような表情で耳を傾けていた。多くの意見を闘わせた後で井出一太郎が
「わが派としていかに行動するかは この際、三木先生に一任しましょう」といった。
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これを受けて三木は最後にこう述べた。「今日のような重大事態を迎えたということは、かねて党近代化を唱えてきた私自身にも責任があると思う。敢えて だれが悪い 彼が悪いという性格のものではない。全党的な また国民としての立場に立って 自民党の将来について自分は考えるところがある。私なりの結論が出たならば みなさんに協力をお願いしたい」
この短い三木の挨拶の中から
― 三木さんは辞任を決意したのではないか。
という観測を強めた人たちが多かった。
それだけにその夜 三木邸には三木派の首脳、若手たちが何人か集まった。また担当記者たちも
― 三木はどのような結論を出すのか。
という関心からそこに集まってきた。これらの人々を前に 三木はいつもと変わらない様子で雑談を交わしていた。夜が更けるにつれて一人去り 二人去りして 最後に残ったのは三木の義弟の森美秀であった。
「いよいよ辞表を出す決意を固めたんですか」と ざっくばらんに問いかけた。三木は穏やかな語調で
「それ以外に何か他の方法があるかね」と尋ねた。
「他にないとはいえませんが最後の断は義兄さんが下すところですから とやかくいう筋ではないでしょう」
096
これを受けて三木は最後にこう述べた。「今日のような重大事態を迎えたということは、かねて党近代化を唱えてきた私自身にも責任があると思う。敢えて だれが悪い 彼が悪いという性格のものではない。全党的な また国民としての立場に立って 自民党の将来について自分は考えるところがある。私なりの結論が出たならば みなさんに協力をお願いしたい」
この短い三木の挨拶の中から
― 三木さんは辞任を決意したのではないか。
という観測を強めた人たちが多かった。
それだけにその夜 三木邸には三木派の首脳、若手たちが何人か集まった。また担当記者たちも
― 三木はどのような結論を出すのか。
という関心からそこに集まってきた。これらの人々を前に 三木はいつもと変わらない様子で雑談を交わしていた。夜が更けるにつれて一人去り 二人去りして 最後に残ったのは三木の義弟の森美秀であった。
「いよいよ辞表を出す決意を固めたんですか」と ざっくばらんに問いかけた。三木は穏やかな語調で
「それ以外に何か他の方法があるかね」と尋ねた。
「他にないとはいえませんが最後の断は義兄さんが下すところですから とやかくいう筋ではないでしょう」
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これを受けて三木は最後にこう述べた。「今日のような重大事態を迎えたということは、かねて党近代化を唱えてきた私自身にも責任があると思う。敢えて、だれが悪い彼が悪いという性格のものではない。全党的な、また国民としての立場に立って 自民党の将来について自分は考えるところがある。私なりの結論が出たならば みなさんに協力をお願いしたい」
この短い三木の挨拶の中から
― 三木さんは辞任を決意したのではないか。
という観測を強めた人たちが多かった。
それだけにその夜 三木邸には三木派の首脳、若手たちが何人か集まった。また担当記者たちも
― 三木はどのような結論を出すのか。
という関心からそこに集まってきた。これらの人々を前に 三木はいつもと変わらない様子で雑談を交わしていた。夜が更けるにつれて一人去り 二人去りして 最後に残ったのは三木の義弟の森美秀であった。
「いよいよ辞表を出す決意を固めたんですか」と ざっくばらんに問いかけた。三木は穏やかな語調で
「それ以外に何か他の方法があるかね」と尋ねた。
「他にないとはいえませんが最後の断は義兄さんが下すところですから とやかくいう筋ではないでしょう」
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これを受けて三木は最後にこう述べた。「今日のような重大事態を迎えたということは、かねて党近代化を唱えてきた私自身にも責任があると思う。敢えて、だれが悪い彼が悪いという性格のものではない。全党的な、また国民としての立場に立って 自民党の将来について自分は考えるところがある。私なりの結論が出たならば みなさんに協力をお願いしたい」
この短い三木の挨拶の中から
― 三木さんは辞任を決意したのではないか。
という観測を強めた人たちが多かった。
それだけにその夜 三木邸には三木派の首脳、若手たちが何人か集まった。また担当記者たちも
― 三木はどのような結論を出すのか。
という関心からそこに集まってきた。これらの人々を前に 三木はいつもと変わらない様子で雑談を交わしていた。夜が更けるにつれて一人去り 二人去りして 最後に残ったのは三木の義弟の森美秀であった。
「いよいよ辞表を出す決意を固めたんですか」と ざっくばらんに問いかけた。三木は穏やかな語調で
「それ以外に何か他の方法があるかね」と尋ねた。
「他にないとはいえませんが最後の断は義兄さんが下すところですから とやかくいう筋ではないでしょう」
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Yを守ろうとコピペ必死過ぎwww
みんなコピペ不細工が誰なのか検討ついてるんだからwww
100
だがいまのぼくは、そうしたことは考えたくないんだ。将来の算盤を弾いてみれば 閣僚を辞めることが損とか得とか いずれにしても好ましい結論は出てこないだろうと思う。しかしたったいま政治家としての節を全うするということだけを考えてみれば 自分が内閣を去って党の近代化に努める以外 結論はないはずだ。今度こそ本当に自分の手で党改革をやってみたい。将来 保守党の歴史の上に金字塔として残されるくらいの仕事をしてみたいんだ。これは総理総裁を狙うとか 副総理のポストを失いたくないとかいう損得ずくめの計算を離れたことなんだ。政治家というものは 時としてそうしたものを全く離れた純粋な考え方をし 行動をしなければならないこともあるんだよ」
森が帰ったあと― もう0時近い時間であった。三木は福田に電話を入れた。
「明日……ぼくは辞表を出す」
淡々とした語調だった。
「そうか……」
福田は声を詰まらせた。きたるべき場面がきたという緊張からだった。その脳裏には目まぐるしく
― そのあと自分はどう出るべきか。
それにまつわる幾つかの場面が浮かび上がっては消えた。
派閥総会で下野を唱える若手たち。
田中の慰留。
騒ぎ回る記者たち。
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