028 思いがけない質問に困惑する安羅木。(美幸)「あらっゴメンなさい!何でもないわ。ゴメンね。気にしないで!」 そういい残し、美幸は、さっさと台東病院方面へと足早に消えていった。いったい何だ?車って?変なの。安羅木には美幸の質問の意図が皆目分からない。まあ、いい。早く芙美江に会いたい。それだけだ。・・・・・・・『ひさご通りに行ってください。』安羅木はタクシーをつかまえ、芙美江と会うべく急いでいた。吉原から千束通りに入り、浅草方面へ。すると、言問通りにぶつかる。ここで安羅木は下車した。 匿名さん2012/08/09 01:03
029 信号を歩いて横断し、ひさご通り商店街へ。真夜中だ。営業している店などほとんどない。そして、左の狭い路地へと足を踏み入れると、右手にラブホテル「ラ・カルチェ」が見える。そう、ここが芙美江との「密会場所」だ。芙美江と密会を始めて1年位になるか。ラ・カルチェのすぐ近くに有名な「浅草花やしき」がある。週末ともなれば、家族連れや観光客で大いに賑わう。安羅木は、芙美江の携帯に連絡を入れた。(芙美江)「お疲れ。いまどこ?」(安羅木)『ラ・カルチェの真ん前だよ。』 匿名さん2012/08/09 01:03
030 (芙美江)「203号室ね。」・・・・・この周辺には、ラ・カルチェをはじめ数軒のラブホテルが点在するが、目立たないロケーションに立地するゆえ、密会には最適の穴場といえる。これが、西浅草や鶯谷のラブホテル街となると、誰に見られるか分かったもんではない。実際、先ほど久々の再会となった美幸は鶯谷デリに在籍している。吉原関係者や出身者がウジャウジャいる鶯谷。そこのラブホテルを利用するなどというのは危険きわまりない行為である。・・・・ 匿名さん2012/08/09 01:04
031 安羅木はエレベーターで2階に上がり、先に入室していた芙美江がいる203号室へと廊下を歩く。そして、ドア横にあるチャイムを鳴らした。『僕だけど。』 芙美江は、ドアを開け、安羅木を迎えた。そして、安羅木は、すぐさま芙美江を強く抱きしめ、2人は濃厚なキスを交わす。業界で風紀と言われる。まさにそれである。しかし、当の2人には罪悪感などまるでない。《夜の砂漠》で生きる孤独な男女愛。その光景しか見えないのである・・・・・・・(次回に続く) 匿名さん2012/08/09 01:04
034 【小説】「愛の蹉跌」=第5回= 浅草ラブホテル「ラ・カルチェ」203号室。安羅木(やすらぎ)一郎は、芙美江〔吉原エンペラー弥生(やよい)〕をそのままベッドに押し倒し、2人は愛欲に溺れていく。桑田佳祐の曲‘祭りのあと’のBGMが流れる室内であった。・・・・・その後、芙美江が不安を安羅木に打ち明けた。(芙美江)「あれから時間がたったけど....本当に大丈夫なの?不安だわ。」(安羅木)『ちょうど4か月か。大丈夫だ。心配いらないよ。』(芙美江)「・・・・・・・・・・」 匿名さん2012/08/12 01:52
035 (安羅木)『死体はまず発見されない。見つかっても3年後、いやそれ以降かも知れないな。それまで時間稼ぎが出来る。だいいち、あの現場に僕が死体を遺棄したことは誰にも見られていない。大丈夫大丈夫。』(芙美江)「憎い奴の敵をうってくれて本当に感謝してるわ。でもね、ぜんぶ貴方にお願いしてしまって。すまない気持ちで一杯なの。わたしは何一つ手を汚さないなんてズルい女。そう思わない?」(安羅木)『いや、僕自身が考え決めたこと。 匿名さん2012/08/12 01:52
036 そして、僕自身が実行したことだ。いいんだよ。すべては僕がやったことさ。芙美には、1日も早く業界をあがって欲しい。忌まわしい過去のこと、奴のことなんて早く忘れることだ。奴はもうこの世にいないんだからね。あいつに泣かされ、人生をめちゃくちゃにされた被害者は大勢いる。天罰が下ったんだよ。そう思えばいいさ。』(芙美江)「あなたもお店辞めて、一緒に田舎かどこかに行こう。ね?早く一緒になりたいわ。」(安羅木)『ああ。そうしよう。 匿名さん2012/08/12 01:53
037 信じていいんだね?芙美。愛してるよ。』(芙美江)「わたしも。ねぇ、もっと抱いて!お願い!」・・・・・・2010年6月。ある静かな夜の出来事であった。・・・・・・・・それから1年半後。2011年の師走。安羅木は、公休中の芙美江から話があると言われ、荒川区東日暮里のファミレスに呼ばれた。(安羅木)『ごめん!遅くなって。今夜、珍しく社長が店に抜き打ちチェックに来てさ。やれ、ここが悪い、あそこが悪い。売上がああだこうだ。参ったよ。』 時刻は午前1時半をまわっていた。 匿名さん2012/08/12 01:53