038 (安羅木)『で?話って何かな?』(芙美江)「実は....年内でお店を辞めたいの。」(安羅木)『えっ?!』(芙美江)「あなたにはとてもお世話になって。将来を誓いあって。前向きに生きたい。それはそうなんだけどね...あいつに母を殺されて25年が過ぎました。最近、毎晩、お母さんが夢に出てくるの。ずっとわたしを見つめて、優しい笑顔で。ずっとね。それでスっーと消えていくの。」 芙美江は突然、涙を流す。(安羅木)『・・・・・・・・・・・』 (芙美江)「最近ずっとなの。 匿名さん2012/08/12 01:54
039 なんでかなぁ。それで、精神的に限界かなって。」(安羅木)『・・・そうだったのか。・・・・』(芙美江)「ごめんなさい、いきなり泣いちゃったりして。それでね、しばらく母の供養をしに、富山県で過ごそうと思うの。」(安羅木)『お母さんのふるさとだね?』(芙美江)「そう。母が子供時代をすごした富山でゆったりと。静かに。しばらく過ごしたいのよ。ごめんね、勝手なこと言って。」(安羅木)『いや、いいんだよ。わかった!君の望むようにしたらいいよ。富山でゆっくり休んできなよ。』 匿名さん2012/08/12 01:54
040 (芙美江)「ほんと?有難う。ほんとに有難う。しばらく会えないけど、時々ちゃんと連絡します。そして、東京に戻ったら...結婚してほしい....いい?」(安羅木)『ん。分かった。それまで、僕もこれからの人生ね、身の振りかたを考えとくよ。僕も45歳過ぎてもう若くないから。真剣に考えます。あの村(吉原)を離れて生きていく術を。』・・・・・エンペラーNO1姫‘弥生’こと岡野芙美江は、2011年12月30日をもって退店。エース姫が不在となった高級ソープ店エンペラー。 匿名さん2012/08/12 01:55
041 そして、事実上の経営責任者である安羅木一郎。本来は、芙美江が不在となったエンペラーの危機をどう乗り越えるか。これに大いに悩まされるところだ。しかし、実際は逆であった。芙美江のためなら、それが一番なのだ。芙美江の幸せのためなら.....愛する女のため、どんな泥でも喜んでかぶってやる。どんな犠牲でも払ってやる。安羅木は、決意を新たにしたのであった。・・・・・・・・(次回に続く) 匿名さん2012/08/12 01:56
042 【小説】「愛の蹉跌」=第6回= その翌年、2011年4月。本格的な桜シーズンを迎え、各行楽地は賑わいをみせていた。ナンバー1姫「弥生」(本名:岡野芙美江)が突如退店し、吉原エンペラーであったが、期待の新人が数名入店し、また暖かくなってから店の売上は上昇基調をみせている。マネージャーの安羅木(やすらぎ)一郎は、富山県にいる芙美江と週に1、2度連絡を取り合っていた。・・・・・「へいっ!いらっしゃい!あっ、いつもお世話になります!」 匿名さん2012/08/12 19:12
043 安羅木は、休憩をとり、吉原近くの蕎麦屋 ‘前田屋’の暖簾をくぐる。いつものザル蕎麦を注文した。店内は狭いが、吉原とその周辺に贔屓客が多く、むしろ混んでいることが多い人気の老舗蕎麦屋だ。女将が、テレビのスィッチを入れる。おなじみの ‘生島ヒロタ’が司会を務めるワイドショーだ。(生島ヒロタ)「はい、ではですね、最新のニュースを浜本アナウンサーに伝えてもらいましょう。浜本くん!」 その後、先月の年度末でテレビ関東を退職し、 匿名さん2012/08/12 19:12
044 独立しフリーになったイケメンの浜本正樹アナウンサーが画面に登場。Kinki Kidsの堂本光一に似た長身。女性に大人気のアナウンサーだ。安羅木は、ただ々モクモクと蕎麦を食っている。(浜本アナウンサー)「こんにちは。それでは最新のニュースをお伝えいたします。埼玉県秩父市大野原にあるマンホールから腐乱白骨死体が発見されました。」・・・・・安羅木の箸(はし)の動きがピタリと止まる。・・・・「秩父東警察署は、事件・事故両面から捜査に着手しました。 匿名さん2012/08/12 19:13
045 調べによると、発見された遺体は男性と見られ、死後1〜2年は経過しているとのことです。」....「発見現場のマンホールは、埼玉県が管理する大野原地下貯水タンクに連結しており、マンホールは重さ数10キログラムのフタで常時密閉されているため、何者かが、そのフタを開けて遺体を遺棄した可能性が高いということです。それでは、次のニュースです。税と社会保障一体改革の審議が......」 安羅木は、怯えた目でテレビ画面を凝視していた。 匿名さん2012/08/12 19:13
046 とうとう遺体が発見されたか。予想より早かった。安羅木は蕎麦を食べ残し、急ぎ前田屋を後にする。居ても立ってもいられなかったのだ。そして、徒歩で1、2分の距離にある「樋口一葉記念館」正面の公園へと向かった。ベンチに腰かけ、芙美江の携帯に連絡を入れる。あの死体の青白い顔、そして、あの現場の光景が安羅木の脳裏に蘇生する。恐怖から汗がどくどくと吹き出てくる・・・(芙美江)「はい。元気?」(安羅木)『芙美、ニュースでやってた。い、い、遺体が見つかった。』 匿名さん2012/08/12 19:14
047 (芙美江)「・・・・・・・」 安羅木は、明日以降、マスコミ報道を注視するが、とりあえずは事態を見守る方針でいくことを芙美江に伝えた。・・・・・それから数日後・・・・・・ 安羅木は、仕事を終え、深夜、寮への帰途につく。寮は、台東区竜泉にある粗末なアパートだ。吉原から目の鼻の先にある。4月中旬だが、深夜はまだ寒い。思わずジャンパーの襟を立てて寮へと急ぐ。「あ〜安羅木さんだぁ!」 スナックの前を通り過ぎた時、泥酔した1人の女が安羅木に話しかけてきた。 匿名さん2012/08/12 19:14