031 安羅木はエレベーターで2階に上がり、先に入室していた芙美江がいる203号室へと廊下を歩く。そして、ドア横にあるチャイムを鳴らした。『僕だけど。』 芙美江は、ドアを開け、安羅木を迎えた。そして、安羅木は、すぐさま芙美江を強く抱きしめ、2人は濃厚なキスを交わす。業界で風紀と言われる。まさにそれである。しかし、当の2人には罪悪感などまるでない。《夜の砂漠》で生きる孤独な男女愛。その光景しか見えないのである・・・・・・・(次回に続く) 匿名さん2012/08/09 01:04
034 【小説】「愛の蹉跌」=第5回= 浅草ラブホテル「ラ・カルチェ」203号室。安羅木(やすらぎ)一郎は、芙美江〔吉原エンペラー弥生(やよい)〕をそのままベッドに押し倒し、2人は愛欲に溺れていく。桑田佳祐の曲‘祭りのあと’のBGMが流れる室内であった。・・・・・その後、芙美江が不安を安羅木に打ち明けた。(芙美江)「あれから時間がたったけど....本当に大丈夫なの?不安だわ。」(安羅木)『ちょうど4か月か。大丈夫だ。心配いらないよ。』(芙美江)「・・・・・・・・・・」 匿名さん2012/08/12 01:52
035 (安羅木)『死体はまず発見されない。見つかっても3年後、いやそれ以降かも知れないな。それまで時間稼ぎが出来る。だいいち、あの現場に僕が死体を遺棄したことは誰にも見られていない。大丈夫大丈夫。』(芙美江)「憎い奴の敵をうってくれて本当に感謝してるわ。でもね、ぜんぶ貴方にお願いしてしまって。すまない気持ちで一杯なの。わたしは何一つ手を汚さないなんてズルい女。そう思わない?」(安羅木)『いや、僕自身が考え決めたこと。 匿名さん2012/08/12 01:52
036 そして、僕自身が実行したことだ。いいんだよ。すべては僕がやったことさ。芙美には、1日も早く業界をあがって欲しい。忌まわしい過去のこと、奴のことなんて早く忘れることだ。奴はもうこの世にいないんだからね。あいつに泣かされ、人生をめちゃくちゃにされた被害者は大勢いる。天罰が下ったんだよ。そう思えばいいさ。』(芙美江)「あなたもお店辞めて、一緒に田舎かどこかに行こう。ね?早く一緒になりたいわ。」(安羅木)『ああ。そうしよう。 匿名さん2012/08/12 01:53
037 信じていいんだね?芙美。愛してるよ。』(芙美江)「わたしも。ねぇ、もっと抱いて!お願い!」・・・・・・2010年6月。ある静かな夜の出来事であった。・・・・・・・・それから1年半後。2011年の師走。安羅木は、公休中の芙美江から話があると言われ、荒川区東日暮里のファミレスに呼ばれた。(安羅木)『ごめん!遅くなって。今夜、珍しく社長が店に抜き打ちチェックに来てさ。やれ、ここが悪い、あそこが悪い。売上がああだこうだ。参ったよ。』 時刻は午前1時半をまわっていた。 匿名さん2012/08/12 01:53
038 (安羅木)『で?話って何かな?』(芙美江)「実は....年内でお店を辞めたいの。」(安羅木)『えっ?!』(芙美江)「あなたにはとてもお世話になって。将来を誓いあって。前向きに生きたい。それはそうなんだけどね...あいつに母を殺されて25年が過ぎました。最近、毎晩、お母さんが夢に出てくるの。ずっとわたしを見つめて、優しい笑顔で。ずっとね。それでスっーと消えていくの。」 芙美江は突然、涙を流す。(安羅木)『・・・・・・・・・・・』 (芙美江)「最近ずっとなの。 匿名さん2012/08/12 01:54
039 なんでかなぁ。それで、精神的に限界かなって。」(安羅木)『・・・そうだったのか。・・・・』(芙美江)「ごめんなさい、いきなり泣いちゃったりして。それでね、しばらく母の供養をしに、富山県で過ごそうと思うの。」(安羅木)『お母さんのふるさとだね?』(芙美江)「そう。母が子供時代をすごした富山でゆったりと。静かに。しばらく過ごしたいのよ。ごめんね、勝手なこと言って。」(安羅木)『いや、いいんだよ。わかった!君の望むようにしたらいいよ。富山でゆっくり休んできなよ。』 匿名さん2012/08/12 01:54
040 (芙美江)「ほんと?有難う。ほんとに有難う。しばらく会えないけど、時々ちゃんと連絡します。そして、東京に戻ったら...結婚してほしい....いい?」(安羅木)『ん。分かった。それまで、僕もこれからの人生ね、身の振りかたを考えとくよ。僕も45歳過ぎてもう若くないから。真剣に考えます。あの村(吉原)を離れて生きていく術を。』・・・・・エンペラーNO1姫‘弥生’こと岡野芙美江は、2011年12月30日をもって退店。エース姫が不在となった高級ソープ店エンペラー。 匿名さん2012/08/12 01:55