041 そして、事実上の経営責任者である安羅木一郎。本来は、芙美江が不在となったエンペラーの危機をどう乗り越えるか。これに大いに悩まされるところだ。しかし、実際は逆であった。芙美江のためなら、それが一番なのだ。芙美江の幸せのためなら.....愛する女のため、どんな泥でも喜んでかぶってやる。どんな犠牲でも払ってやる。安羅木は、決意を新たにしたのであった。・・・・・・・・(次回に続く) 匿名さん2012/08/12 01:56
042 【小説】「愛の蹉跌」=第6回= その翌年、2011年4月。本格的な桜シーズンを迎え、各行楽地は賑わいをみせていた。ナンバー1姫「弥生」(本名:岡野芙美江)が突如退店し、吉原エンペラーであったが、期待の新人が数名入店し、また暖かくなってから店の売上は上昇基調をみせている。マネージャーの安羅木(やすらぎ)一郎は、富山県にいる芙美江と週に1、2度連絡を取り合っていた。・・・・・「へいっ!いらっしゃい!あっ、いつもお世話になります!」 匿名さん2012/08/12 19:12
043 安羅木は、休憩をとり、吉原近くの蕎麦屋 ‘前田屋’の暖簾をくぐる。いつものザル蕎麦を注文した。店内は狭いが、吉原とその周辺に贔屓客が多く、むしろ混んでいることが多い人気の老舗蕎麦屋だ。女将が、テレビのスィッチを入れる。おなじみの ‘生島ヒロタ’が司会を務めるワイドショーだ。(生島ヒロタ)「はい、ではですね、最新のニュースを浜本アナウンサーに伝えてもらいましょう。浜本くん!」 その後、先月の年度末でテレビ関東を退職し、 匿名さん2012/08/12 19:12
044 独立しフリーになったイケメンの浜本正樹アナウンサーが画面に登場。Kinki Kidsの堂本光一に似た長身。女性に大人気のアナウンサーだ。安羅木は、ただ々モクモクと蕎麦を食っている。(浜本アナウンサー)「こんにちは。それでは最新のニュースをお伝えいたします。埼玉県秩父市大野原にあるマンホールから腐乱白骨死体が発見されました。」・・・・・安羅木の箸(はし)の動きがピタリと止まる。・・・・「秩父東警察署は、事件・事故両面から捜査に着手しました。 匿名さん2012/08/12 19:13
045 調べによると、発見された遺体は男性と見られ、死後1〜2年は経過しているとのことです。」....「発見現場のマンホールは、埼玉県が管理する大野原地下貯水タンクに連結しており、マンホールは重さ数10キログラムのフタで常時密閉されているため、何者かが、そのフタを開けて遺体を遺棄した可能性が高いということです。それでは、次のニュースです。税と社会保障一体改革の審議が......」 安羅木は、怯えた目でテレビ画面を凝視していた。 匿名さん2012/08/12 19:13
046 とうとう遺体が発見されたか。予想より早かった。安羅木は蕎麦を食べ残し、急ぎ前田屋を後にする。居ても立ってもいられなかったのだ。そして、徒歩で1、2分の距離にある「樋口一葉記念館」正面の公園へと向かった。ベンチに腰かけ、芙美江の携帯に連絡を入れる。あの死体の青白い顔、そして、あの現場の光景が安羅木の脳裏に蘇生する。恐怖から汗がどくどくと吹き出てくる・・・(芙美江)「はい。元気?」(安羅木)『芙美、ニュースでやってた。い、い、遺体が見つかった。』 匿名さん2012/08/12 19:14
047 (芙美江)「・・・・・・・」 安羅木は、明日以降、マスコミ報道を注視するが、とりあえずは事態を見守る方針でいくことを芙美江に伝えた。・・・・・それから数日後・・・・・・ 安羅木は、仕事を終え、深夜、寮への帰途につく。寮は、台東区竜泉にある粗末なアパートだ。吉原から目の鼻の先にある。4月中旬だが、深夜はまだ寒い。思わずジャンパーの襟を立てて寮へと急ぐ。「あ〜安羅木さんだぁ!」 スナックの前を通り過ぎた時、泥酔した1人の女が安羅木に話しかけてきた。 匿名さん2012/08/12 19:14
048 西田美幸。そう、元吉原姫で、現在、鶯谷デリで働く女性である。(安羅木)『あー、美幸さん!久しぶりだね。今も鶯谷デリにいるの?』(美幸)「そ、そうだよーん♪」(安羅木)『おやおや(笑)だいぶ酔ってるね。じゃ、また。今日はこれで失礼するよ。』 ところが、である。(美幸)「おい!待てよッ!てめぇ!」 豹変した美幸に安羅木はビクっとする。(美幸)「死体あがったねぇ〜♪ やっぱ、あの日の夜、クルマ運転してたのお前だったんだぁ!へへへ♪」 匿名さん2012/08/12 19:14
049 (安羅木)『な、何をいってるんだよ。死体?意味わからないね。変な言いがかりつけるなよ。』 安羅木はその場を離れようとするが、美幸はさらに恫喝する。(美幸)「逃げられね〜よ!あのクルマのナンバーちゃ〜んとひかえてあるしー♪へへ。デジカメにあのクルマとテメぇの姿ちゃ〜んと写ってるもんねぇ!」(安羅木)『・・・・・・・』(美幸)「口止め料は後日ね相談しまひょ♪へへへ。鶯谷のホテルでエッチしながら相談しちゃおうかな〜♪へへへ」 匿名さん2012/08/12 19:15
050 安羅木は、美幸と別れてから、しばしの間、スナックの斜め向かいにある駐車場に身を潜めていた。それから30分後。美幸が千鳥足でスナックを出る。1人だ。....安羅木は、美幸のあとをつける。そして、美幸は千束3丁目、台東病院至近にあるマンションに吸いこまれた。それから3階の部屋の明かりが点灯。『あの部屋か....』 安羅木は、ジャンパーのポケットからマイルドセブンを取り出し、煙草に火をつける。安羅木の脳裏に‘悪魔’がささやいた瞬間であった。・・・(続きは次回) 匿名さん2012/08/12 19:15