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左翼は偽善者、保守派は正義

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だよね?

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無理やり審議に入ろうとしても、これは無理だ。臨時国会と政局とを分離しては考えられない」
あとを引きとって大平がこういった。
「まずこの際は総理自らが政局の展望を具体的に示さなければならない。それがないと、とても臨時国会は召集できない」
大平がいう政局の具体的な展望とは、三木総理自らの進退について言明せよ、ということであった。いいかえれば三木が臨時国会後に退陣すると確約をするならば、臨時国会の召集に応じてもいい、という取引であった。
だが三木は表情も口調もいつもと変えずにいった。
「そうかねえ。君たちさえ臨時国会の召集に賛成して財特法などを成立させるという気になれば、できることだと僕は思う。僕が政局の展望について具体的なことをいうよりも、君たち二人が国務優先という考え方を決意しさえすれば、できることではないのかね。ぜひとも協力してほしいんだ」
「しかし何度もくり返すようだが、党内のあなたへの不信の声は大変に強いものがある。僕や大平君は臨時国会を開いた場合、あなたが冒頭解散をするなどとは考えていないが、党内にはなお、そのような挙に出るのではないかと、あなたの動向を懸念する人々がいる。

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いくらあなたが冒頭解散はしないといっても信用していない。三木という人物は何をするかわからん、という声が強い。これがある以上、党内は臨時国会の召集には応じない。だからこの不信感を取り除くことが この際は重大だ。従って今は総理自身がどうするか、その進退を決める段階にきている」
「それはおかしいよ。この三者会談はそういうことを決定する場ではないんだからね。そういうことになれば党側と相談しなければならんだろう」
「いや、今はあなたが今後どうするかを決める場面だ」
と福田は頑強に抵抗した。大平は
「このままでは三人でいくら話し合っても、どうにもなるもんではありませんよ」
と捨て鉢気味にいった。
「まあ、今の三木総理に対する不信感、国会前の党一新ということは、いわば大河の流れになっている。その流れを堰き止められないように、党内情勢は あなたが何とかしなければ、どうにもならないところまできている。それが総理に ご理解いただけないならば、今後政務のことはとにかくとして、この種のことで会う必要はないだろう」
ここに至るまでに蜿蜒と三時間の時間を費やした。

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この間、例によって大平が席を立ちかけ、福田がそれに倣うという場面が三度ほどくり返された。それを三木が
「まあ、もう少し話そう」
と二人の腕をおさえたり、肩を叩いたりして話を続けてきたのだ。それでも闘わす議論はあくまですれ違いで、とうとう最後の場面まできてしまった。だが席を立った二人に向かって三木は
「ただこの三者会談の結果について、決裂したとはいわないでもらいたい」
と前日と同じことをいった。憮然とした面持ちで福田と大平は
ー事実上は決裂ではないか。
肚の中でそう呟いた。そう思いながら福田は三木の術中にはまっていった。福田はこう答えた。
「決裂した……とはいわないことにしましょう」

この三者会談が終わった後、福田と大平とは自民党本部で記者会見を済ませた。この記者会見で福田は
「三者会談は結論を出す場ではない。私どもは重要参考人として意見を申し上げており、意見はほとんど申し上げつくした。もともとこれは自民党の問題で、よく考えると党として決断し 決定することだ。そうするに当たって自分たちは、その参考人といった感じだ」
と述べた。
これは福田なりのある意図があったからだ。

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彼はたった今の三者会談で、三木が
「この会談は自分の進退を決定する場ではない。党側と相談してよく考えたい」
といった言葉を重視したのである。つまり福田としては、このように解釈したのである。
ー三木はおそらく 中曽根、灘尾、松野たち党執行部と相談して 進退について話し合う気持ちになったのだろう。むしろ結論はそこで出させるべきかも知れない。
だから 自分たちは、ただ参考人に過ぎない と記者たちにコメントしたのである。福田はさらに
「首相の理解は 一歩前進したように思う」
と付け加えたが
ー三木が事態収拾を党執行部に委ねる気になったのは一歩前進ではないか。
という判断からであった。
大平はまた、記者団に質問された解散総選挙について
「首相が総選挙を自らの手でやりたいと願望をもつのは当然で、私も首相の立場になればそうだろうと思う。しかし問題は政局の展望に鑑みて、それが自民党にとっていいか悪いかということだ。これについて総理は、自分の手で総選挙を施行するといういい方はしなかった」
と語った。
福田にしても大平にしても 不得要領な話し方であった。だが記者たちは、その経験的な勘で話を読みとった。

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ー今後は党執行部が三木、反三木両派の調整にあたることになる。
ということであった。
事実、その後の政局はそのように進展していくことになる。としても福田も大平も、三木との約束通り
「今のところ三者会談の予定はない。しかし決裂ではない」
という一言を付け加えた。
しかし挙党協の人々の受けとめ方は、福田、大平とは違っていた。
記者会見を終えた二人がホテルオークラの挙党協の会議に出席して三者会談の経過を報告した時、世話人の鈴木善幸は
「それでは話し合いはほとんど進展せず、事実上の決裂ではありませんか」
と詰問した。ほとんどの人たちが鈴木と同じ意見であった。園田は
「こうなれば再度、議員総会を招集して三木総裁の不信任、解任決議まで一挙に運ぶべきだ」
と振り絞ったような声で訴えた。彼にはある種の悲壮感があった。
それは かねての観測の通り
ー今の時期を逃しては三木おろしもできなければ、また福田総理総裁の可能性も消滅してしまう。
ということからであった。それがいま焦燥となって、園田の胸を強く突き上げていた。

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ー事態が持久戦に持ち込まれれば、その間にますます反主流派の結束は乱れてくる。大平派は三木おろしの後、ストレートに福田後継を認めない状況になるかも知れない。田中派もまた同じような状況に変化していくだろう。大平政権ができてしまう。
という思いが、いよいよもって園田を苛立たせた。
彼の耳にも今日の朝あたりから忌まわしい情報が入ってきている。
ーこうなれば福田、大平は三木と刺し違えをして、実力者は全て退陣し、新しい人材を起用すべきだ。
という声を 田中派の中堅、若手たちが本気であげ始めたというのであった。
福田派幹部の間でも、園田の強硬策を批判する意味において
ーこれでは三木、福田、大平 相討ちだよ。
という観測も出てきている。
それを耳にすればするほど、園田は息苦しいほどの焦燥感に駆られるのであった。
「まあ 待てよ。ものには順序があるよ」
と 水田三喜男が提案した。
「われわれとしては昨日の議員総会で、臨時国会前の一新ということを 党議として決定している。この党議の実現という大義名分を押し立てて、一押しも二押しも三木を攻めることが賢明な作戦だと思う。

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党議という看板の前には三木陣営にしたところで弱いはずだ。聞けば、これからは党の執行部が調整収拾にあたるということだが、彼らもこの党議という事実は無視できなかろう。その線で三木君を説得することになると思う。また三木君にしたところで、こちらが時間をかけて ひた押しに押していけば、臨時国会はさらに先に延びる。延びるということは、とりも直さず総理の責任ということになる。そこである段階がくれば、三木君も折れるんではなかろうか」
「さあ、どうかな」
と首をひねったのは保利茂であった。だが腕組みをしたまま、それ以上の意見は述べなかった。

この夜のうちに中曽根幹事長は、収拾、調整への行動をおこし始めた。南平台の私邸に三木を訪ねたのがそのスタートラインだった。
このところ心重い日々が一か月ほど中曽根には続いてきた。ロッキード事件にかかわるものであった。
ロッキード社からの資金が丸紅、全日空、さらに児玉誉士夫の三ルートから政界に流れていたことが解明される過程において、中曽根の名前がマスコミ情報の中に上げられてきた。ことに病床にある児玉誉士夫と中曽根の関係が取り沙汰されてきたのである。

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中曽根は児玉と親交があった河野一郎派の代貸であったし、また児玉秘書の太刀川恒夫を一時期、中曽根が児玉から預かって秘書として使っていた経緯もあった。そうしたところから児玉からの資金が中曽根に流れたという情報が、しきりに飛ばされた。中曽根にはそれは心外であった。
河野亡き後、児玉は中曽根とは接触を持とうとしなかった。中曽根もその縁を薄めた。それはお互いが、うまやそりが合わなかったからである。ある時期、仲だちをする人物があって、中曽根と児玉とは赤坂の料亭で顔を合わせたものの、河野時代の縁はついに復活しないままに推移してきている。
ことに47年の総裁公選では、児玉が福田赳夫を推したのに対して、中曽根は公然と田中角栄支持に踏み切ったという事情もあって、二人の間は冷却している。それをジャーナリズムはそうは見ないで、河野時代以来、中曽根と児玉の縁は深いと判断しているのだった。
加えて田中政権の時代に 中曽根が通商産業大臣のポストにいたことからして、ロッキード事件には中曽根が一枚噛んでいるという観測をジャーナリズムは下しているのであった。

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中曽根にしてみれば他人の家の火事の火の粉を浴びせかけられるような思いであった。としても田中逮捕以来、燃え盛ってきた三木おろしの火の手が、ある意味では自分を目指して襲いかかってきつつあることを自覚しないわけにはいかなかった。
田中、福田、大平各派の中では
「三木をおろすにはまず中曽根を叩け」
という掛け声があがっていることも承知している。そうした中曽根攻撃の内側には
「三木体制が長続きすれば その間に福田、大平が枯れてしまって、次には中曽根時代が訪れる」
という福田、大平派の警戒心が動いている。中曽根時代到来を阻止しようとする両派の政治的思惑が絡んでいた。それだけに中曽根の立場も辛い。三木体制の支柱となっている中曽根にとっては、三木体制の崩壊は彼自身の敗北でもあった。
ーあくまでこの難局を解決してみせる。
三木邸に向かう車の中で中曽根はそう呟いた。

南平台の私邸で待ち受けていた三木は、三者会談の経過を告げた後
「とにかくその席で、政局の問題は三者会談で出すべきではなく 党の機関に諮って考えたい……と答えておいたんだが、執行部で調整と収拾を図ってもらいたい」
と正式に執行部に斡旋を依頼した。

662

🎤コホン
え〜皆さんおはようございます。

金持ちとお友達優遇、そして貧乏しねしね安倍自民党です!

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