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左翼は偽善者、保守派は正義

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だよね?

643

>>642
オナニーですかね?

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私は「歴史がきまった一瞬に立ち会った。これで大福提携は成立した」という充実感より「しまった」という感じの方が強かった。「出すぎたことをした」という思いが次第に心の中に広がってゆくのを私はどうしようもなかった。「君に心配をかけてすまなかった」という大平の言葉が唯一の救いであった。

翌8月23日、大平は福田と会い、そのあと三木首相と会った。ここで大平は三木首相の退陣を要求した。新聞はこの日、表面的な事実だけを報じて内容には立ち入れなかったようだ。大平が記者会見でうまくぼかしたのだろう。
一日たった24日の朝、大平は電話をかけてきて、昨日の大福会談、大平・三木会談の内容を元気に話してくれた。私は大福間における政権問題で大平が怒っていなかったのが確かめられたように思えてホッとした。
この日 開かれた両院議員総会は、出席者271名で人心一新の党議が可決成立した。だがこれは三木不信任案ではない。その上、この両院議員総会では灰色高官と目された加藤六月が出席していたり、船田中が「汚職追及は政治的にやれ」と挨拶したり、福田副総理のはしゃぎぶりが目立つなど 世論を逆なでする言動が多かった。

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何よりも三木不信任が不発に終わったと受けとられたことが痛かった。
翌25日の新聞は大福側に不利で、各紙は「三木退陣工作は後退の兆し?」と一斉に囃した。
挙党協は三木包囲網を実現し、その中で三木から城の明け渡しを要求するつもりだったが、新聞はこの動きの中に「ロッキード隠し」を予感したらしく、反主流の側は旗色が悪くなった形だ。
大平、福田は二人で協議し、そのあと三木と会談したが、三木は「人心一新の党議は承っておく」だけである。「三大福会談は再開されたが結論は出ず」 (各新聞) となってしまった。
これでは完全に「中だるみ」だ。せっかくいいところまで政局を追い込んできたが、一番最後に よく見たら網は破れていたという恰好だ。「詰めが甘かった」というより外はない。
大平はすっかり考えこんでしまう。福田も同じ状態だ。保利や船田はひっこんだまま出てこない。挙党協は内心「失敗だったな」と思ったのだろうが、いまさらどうにも手が打てない。
8月25日、私は例のごとく大平と話をしているうちにフッと思いついた。「人心一新の党議は可決した」、これは三木を退陣させようと狙ったものだ。

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ところが三木は居座って頑として立ちのかない。「三木が動かせないとすると……、そうだ、人心一新の二番手は内閣の改造と党三役の更迭じゃないか」、私はそう思いついた。
三木内閣は椎名に遠慮して、もう一年半以上も改造をしていないのだ。その上、三役の中心である中曽根幹事長は児玉ルートの解明から、いつ名前が出てくるかも判らない。三木はきっと替えたいだろう。中曽根を替えるとなれば当然、三木と中曽根はおかしくなるはずだ。いや中曽根の後任をめぐって三木は必ず問題を起こすだろう。
私は大平に
「人心一新を二段構えでやったらどうだろう。三木総理に内閣改造、三役改選をやらせるのだ。これで臨時国会を乗り切り、このあと党大会で公選をやればいい」
といった。大平は何か救われた気になったらしい。
「三木降ろしではなくて、三木棚上げか」
と途端に反応し「すぐ福田と会おう」といいだした。秘書に電話をかけさせ「明日午前10時、院内で会う」約束をとりつけた。
私は大平にこういった。
「三木総理は改造人事で得意になるかもしれない。だが党内は必ずこれでおかしくなる。三木は弱点である中曽根幹事長を替えようとする。

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だから うまくすると われわれは大平を後任につっこめるかもしれない」
大平は即座に
「おれの幹事長に反対するやつはいるかな」
といった。
「いや、大平は荒事が下手だとみられているから反対する派はないだろう。福田は派内を大平でまとめるだろう」
私がこういうと大平は
「一番の問題は党大会の日取りだな……」
といった。
「三木派は党機関を握っていないから党大会の行事など決められない。三木と大福が話し合ってやるしかない」
「そうだ、三木もそんなことをいっていた」
大平はそう呟きながら即座にいった。
「おれが内閣に残り、福田が党に入ってもいい。だが福田は (副総理だから今さら) 幹事長はやれまい。福田は副総理で蔵相 (大平蔵相の後任) だ。そうなれば経企庁長官だけを替えれば改造はすむことになる。よし、これでゆこう」
「アー、ウー」で有名な大平の頭脳の目にもとまらぬ速さに、私はびっくりした。
8月26日、院内で福田と相談した大平は ほとんど誰にも気付かれずに大福の合意を基に密かに政局の軌道修正に乗り出した。この頃から大平には何か別の力が加わって、今までにない大平が現れるように思えた。

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翌朝、大平を訪ねると、大平は昨日の続きを話してくれた。
「福田と話したら二段階論に乗った。われわれは党をとろう、自分は党にゆくつもりだ、とおれは話した」
こうして大福の新たな舵とりが始まったが、これらは全て水面下にひっこんで表向きは何も見えないのだ。ただ現象に現れたのは、三木首相が中曽根、灘尾、松野の党三役、石田博英幹事長代理、安井謙参院議員会長の五役を招いて協議をし始めたことだ。挙党協の方は24日の党議 (人心一新) を受けて党議決定推進委員会を設け、保利茂を実行委員長に選んだ。
政界の一部では「福田は今度もチョンボになる。公選になれば田中派の力と大平派の力で大平総裁が実現する」という噂が流れた。
党三役に石田、安井の二人を加えた五者間で何かが話し合われているらしい。三木首相は福田と大平に会見を申し入れる。大福間で電話の往来がある。これらが断片的に伝わってくるが、さっぱり実情は判らない。
8月30日、五者の間で何か収拾案ができ、これが三木首相に提示された。三木首相はこれを三大福会談で披露したが、大福はこれを留保した。新聞はそう伝えているが、どうも部外者には不透明だ。

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私は大蔵省に大平を訪ねた。
「中曽根幹事長を切るのに 三木は8月25日から今日まで五日もかかっている。おれは この時、この場で切れと三木の決心を促したが、これをよう決められなかった」
と大平はいった。私はこれでやっと判った。五者収拾案とは中曽根をやめさせよという大平案であった。三木はこれを含んでおいた上、五者会談の中から自ずからでてきたようにして中曽根の決心をきめやすいように配慮したのだった。手のこんだやり方だ。
大平は私と別れ大臣室から官邸に入り、三大福会談に出席した。三時間の協議を終え大福の二人は記者会見をして「三木の考えは前進している」「われわれはこれに理解を示す」と発表した。ところが反三木の挙党協はおさまらず一斉に反撃に出た。強硬分子は「三木を退陣させようとしているのに、なぜ大福は三木に改造を許すのか。何という弱腰だ」というのであろう。二人は挙党協とよく話し合わなかったのだ。意思の疎通の悪さがここで出てきた。
翌日、瀬田で大平に会うと「幹事長は保利にしよう」とすっかりしょげ返っている。挙党協はこの日再び三木退陣を再確認した。大福はここで挙党協から孤立する形となった。

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閑散とした永田町の様相の中に、三木おろしが段々と白ちゃけていくことが象徴されているようであった。このことは、この日の午前中、首相官邸で行われた井出官房長官の記者会見の中にも示されていた。
昨日までは官房長官が坐る席の前には数多くのテレビ、ラジオのマイクが林立していたというのに、この日は記録用のものが一本しか立っていなかった。
記者会見の部屋に入ってきた井出は、すぐにこの様子に気付いた。この人にしては珍しく 大仰なゼスチュアを示して
「ほお、マイクもすっかりなくなりましたね。やはりマイク一本……というのがいいですな」
と いったものである。
席にかけた井出は、このように報告した。
「本日の午後、引き続きまして三木首相は福田副総理、大平蔵相とお目にかかって三者会談を続行することになりました。本日は総理の日程にも支障がないので、十分に話し合ってもらいます」
井出の表情は、昨日に比べれば遥かに朗色を帯びていた。
三木おろしのラストシーンにもなりかねなかった昨日の議員総会、三者会談がことなく通過した安堵と、この後は持久戦で、じっくりと時間をかければ難局を乗り越えられるという自信からであった。

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記者とのやりとりも、井出にはゆとりがあった。
「今日の三者会談で何らかの結論が出ますか」
「さあ、何ともいえません。しかし お互いが理性的に話し合えば、たとえ今日結論が出ないとしても、間もなく話し合いはつくと思いますよ」
「しかし長官。今日の三者会談で決裂……ということになれば、事態は大変ではありませんか」
ジャーナリストというものは常に最悪の場面を想定するものである。その方がニュースバリューがあるからだ。井出はその記者たちの質問を軽くかわした。
「決裂などには至らない……と思いますよ」

多くの耳目が集まる中で三者会談が首相官邸で開かれたのは、この日25日の午後2時であった。
官邸に乗り込んできた福田、大平の表情は、どうしても強張らざるを得ない。昨日の三者会談が反主流派の思い通りの結論を出せなかったことで、反主流派の間に福田、大平は頼むに足らずという声が急速に広がりつつあったからである。それだけに
ー今日こそは事態を前進させなければならない。
という焦燥と緊張とがあった。それが二人の表情を硬直させているのだった。
この二人を三木はにこやかな表情で迎えた。

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三木にはすでに落ち着きと余裕とがあった。じっくりと時間をかけながら反主流派の三木おろしを軟化させ鎮静させる自信を得たからであった。
「昨日、僕がいったように、臨時国会の召集は国務優先という立場から、どうしても急がなければならない。それは理解してもらいたい。そこで今の政局の問題と分離して、ぜひとも臨時国会を早急に召集したい。この点を諒解してほしい」
三木はまず、そう切り出した。
福田は唇をへの字に曲げ、しばらくは返答をしなかった。ちょっと間をおいて
「総理、そう簡単にはいかない。国会の召集といっても召集することと、財政特例法案などの懸案の成立とは別の問題だ。また政局と臨時国会とは一体の問題になっている」
「その辺りが、どうも僕にはわからんのだ」
三木は殊更に首をひねってみせた。
「わからんはずはないでしょう」
福田はやや語調を強めた。
「とにかく昨日の議員総会で臨時国会前の党一新が決議されている。この政局の問題と切り離して臨時国会を召集しようなどといえば、それだけで党内は党議を無視するものとして大混乱に陥る。国会を召集したとしても審議には入れない。

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