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【ペン専用】SUPERNOVA(旧 超新星)★66
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097
立ち上がって演壇に立った佐藤は、あの大きな眼をぎょろりと委員席の辻原に向けた。
「なかなか勇気ある発言で……」と、まずおひゃらかした。
「そのような発言が野党でなく与党議員から出れば、その勇気を高く買うのだが……私のところには “もっとやれ” という支持、同調の意見が多いのが実情……」
そう答弁する佐藤の口辺には なにか嘲笑にちかいものが漂っていた。そのさげすみに似たものは、悪態をついた野党に向けられたというより むしろ
― 自民党のなかでなんだかんだと遠吠えするものはあっても、正面切って自分に “退陣せよ” という勇気のあるものは一人としておらんではないか……。
と党内に向けられていた。
マスコミが福田赳夫、田中角栄、三木武夫、大平正芳たちの弱腰をひやかした “四弱” という言葉が佐藤の脳裏にはあった。
― みなが自分に膝を屈している。 “死に体” でもなければ “倒れたランナー” でもない。その証拠には四次防、台湾帰属、沖縄への自衛隊物資輸送……どんなミスがあっても野党は外からわが内閣を倒せんではないか。党内の内がわからも おれを倒せるものはだれ一人おりはせんのだ。
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立ち上がって演壇に立った佐藤は、あの大きな眼をぎょろりと委員席の辻原に向けた。
「なかなか勇気ある発言で……」と、まずおひゃらかした。
「そのような発言が野党でなく与党議員から出れば、その勇気を高く買うのだが……私のところには “もっとやれ” という支持、同調の意見が多いのが実情……」
そう答弁する佐藤の口辺には なにか嘲笑にちかいものが漂っていた。そのさげすみに似たものは、悪態をついた野党に向けられたというより むしろ
― 自民党のなかでなんだかんだと遠吠えするものはあっても、正面切って自分に “退陣せよ” という勇気のあるものは一人としておらんではないか……。
と党内に向けられていた。
マスコミが福田赳夫、田中角栄、三木武夫、大平正芳たちの弱腰をひやかした “四弱” という言葉が佐藤の脳裏にはあった。
― みなが自分に膝を屈している。 “死に体” でもなければ “倒れたランナー” でもない。その証拠には四次防、台湾帰属、沖縄への自衛隊物資輸送……どんなミスがあっても野党は外からわが内閣を倒せんではないか。党内の内がわからも おれを倒せるものはだれ一人おりはせんのだ。
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立ち上がって演壇に立った佐藤は、あの大きな眼をぎょろりと委員席の辻原に向けた。
「なかなか勇気ある発言で……」と、まずおひゃらかした。
「そのような発言が野党でなく与党議員から出れば、その勇気を高く買うのだが……私のところには “もっとやれ” という支持、同調の意見が多いのが実情……」
そう答弁する佐藤の口辺には なにか嘲笑にちかいものが漂っていた。そのさげすみに似たものは、悪態をついた野党に向けられたというより むしろ
― 自民党のなかでなんだかんだと遠吠えするものはあっても、正面切って自分に “退陣せよ” という勇気のあるものは一人としておらんではないか……。
と党内に向けられていた。
マスコミが福田赳夫、田中角栄、三木武夫、大平正芳たちの弱腰をひやかした “四弱” という言葉が佐藤の脳裏にはあった。
― みなが自分に膝を屈している。 “死に体” でもなければ “倒れたランナー” でもない。その証拠には四次防、台湾帰属、沖縄への自衛隊物資輸送……どんなミスがあっても野党は外からわが内閣を倒せんではないか。党内の内がわからも おれを倒せるものはだれ一人おりはせんのだ。
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立ち上がって演壇に立った佐藤は、あの大きな眼をぎょろりと委員席の辻原に向けた。
「なかなか勇気ある発言で……」と、まずおひゃらかした。
「そのような発言が野党でなく与党議員から出れば、その勇気を高く買うのだが……私のところには “もっとやれ” という支持、同調の意見が多いのが実情……」
そう答弁する佐藤の口辺には なにか嘲笑にちかいものが漂っていた。そのさげすみに似たものは、悪態をついた野党に向けられたというより むしろ
― 自民党のなかでなんだかんだと遠吠えするものはあっても、正面切って自分に “退陣せよ” という勇気のあるものは一人としておらんではないか……。
と党内に向けられていた。
マスコミが福田赳夫、田中角栄、三木武夫、大平正芳たちの弱腰をひやかした “四弱” という言葉が佐藤の脳裏にはあった。
― みなが自分に膝を屈している。 “死に体” でもなければ “倒れたランナー” でもない。その証拠には四次防、台湾帰属、沖縄への自衛隊物資輸送……どんなミスがあっても野党は外からわが内閣を倒せんではないか。党内の内がわからも おれを倒せるものはだれ一人おりはせんのだ。
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立ち上がって演壇に立った佐藤は、あの大きな眼をぎょろりと委員席の辻原に向けた。
「なかなか勇気ある発言で……」と、まずおひゃらかした。
「そのような発言が野党でなく与党議員から出れば、その勇気を高く買うのだが……私のところには “もっとやれ” という支持、同調の意見が多いのが実情……」
そう答弁する佐藤の口辺には なにか嘲笑にちかいものが漂っていた。
そのさげすみに似たものは、悪態をついた野党に向けられたというより むしろ
― 自民党のなかでなんだかんだと遠吠えするものはあっても、正面切って自分に “退陣せよ” という勇気のあるものは一人としておらんではないか……。
と党内に向けられていた。
マスコミが福田赳夫、田中角栄、三木武夫、大平正芳たちの弱腰をひやかした “四弱” という言葉が佐藤の脳裏にはあった。
― みなが自分に膝を屈している。 “死に体” でもなければ “倒れたランナー” でもない。その証拠には四次防、台湾帰属、沖縄への自衛隊物資輸送……どんなミスがあっても野党は外からわが内閣を倒せんではないか。党内の内がわからも おれを倒せるものはだれ一人おりはせんのだ。
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立ち上がって演壇に立った佐藤は、あの大きな眼をぎょろりと委員席の辻原に向けた。
「なかなか勇気ある発言で……」と、まずおひゃらかした。
「そのような発言が野党でなく与党議員から出れば、その勇気を高く買うのだが……私のところには “もっとやれ” という支持、同調の意見が多いのが実情……」
そう答弁する佐藤の口辺には なにか嘲笑にちかいものが漂っていた。
そのさげすみに似たものは、悪態をついた野党に向けられたというより むしろ
― 自民党のなかでなんだかんだと遠吠えするものはあっても、正面切って自分に “退陣せよ” という勇気のあるものは一人としておらんではないか……。
と党内に向けられていた。
マスコミが福田赳夫、田中角栄、三木武夫、大平正芳たちの弱腰をひやかした “四弱” という言葉が佐藤の脳裏にはあった。
― みなが自分に膝を屈している。 “死に体” でもなければ “倒れたランナー” でもない。その証拠には四次防、台湾帰属、沖縄への自衛隊物資輸送……どんなミスがあっても野党は外からわが内閣を倒せんではないか。党内の内がわからも おれを倒せるものはだれ一人おりはせんのだ。
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立ち上がって演壇に立った佐藤は、あの大きな眼をぎょろりと委員席の辻原に向けた。
「なかなか勇気ある発言で……」と、まずおひゃらかした。
「そのような発言が野党でなく与党議員から出れば、その勇気を高く買うのだが……私のところには “もっとやれ” という支持、同調の意見が多いのが実情……」
そう答弁する佐藤の口辺には なにか嘲笑にちかいものが漂っていた。
そのさげすみに似たものは、悪態をついた野党に向けられたというより むしろ
― 自民党のなかでなんだかんだと遠吠えするものはあっても、正面切って自分に “退陣せよ” という勇気のあるものは一人としておらんではないか……。
と党内に向けられていた。
マスコミが福田赳夫、田中角栄、三木武夫、大平正芳たちの弱腰をひやかした “四弱” という言葉が佐藤の脳裏にはあった。
― みなが自分に膝を屈している。 “死に体” でもなければ “倒れたランナー” でもない。
その証拠には四次防、台湾帰属、沖縄への自衛隊物資輸送……どんなミスがあっても野党は外からわが内閣を倒せんではないか。党内の内がわからも おれを倒せるものはだれ一人おりはせんのだ。
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佐藤は夜に予定している誕生パーティーが きわめて盛大なものになって おおいに勢威を誇示できるであろうと、そちらのほうに昂ぶった喜びを感じていた。
たしかに……その夜、公邸でもよおされたパーティーは 六百人を集めて人の波が渦を巻いた。至るところのさざめきが どよめきにちかいものになって 六百通を越えたという祝電も披露できないありさまであった。
司会役の木村武雄が千軍万馬の士にも似合わず顔を紅潮させていた。
「総理はたいへんに健康で まだまだ政権を担当できる……」
日ごろ 佐藤に率直に意見具申をしていると称する木村にしては、どうも茶坊主的発言であった。隅のほうで若手が
「木村さんも硬骨漢と思っていたがねえ、やはり総理の前では だめなんだな」
「いや、保利幹事長も総理には思っとることの半分もいえんらしいよ」
と、そんな会話をかわした。
福田赳夫外相だけが佐藤のそばについていた。挨拶のスピーチを行なった。
田中角栄通産相のほうは終始 人波のなかにまじっていた。「禅譲を期待する福田と、自力独歩の田中との相違だな」という声があった。ただ この席では前尾繁三郎法相が皮肉な挨拶をした。
105
佐藤は夜に予定している誕生パーティーが きわめて盛大なものになって おおいに勢威を誇示できるであろうと、そちらのほうに昂ぶった喜びを感じていた。
たしかに……その夜、公邸でもよおされたパーティーは 六百人を集めて人の波が渦を巻いた。至るところのさざめきが どよめきにちかいものになって 六百通を越えたという祝電も披露できないありさまであった。
司会役の木村武雄が千軍万馬の士にも似合わず顔を紅潮させていた。
「総理はたいへんに健康で まだまだ政権を担当できる……」
日ごろ 佐藤に率直に意見具申をしていると称する木村にしては、どうも茶坊主的発言であった。隅のほうで若手が
「木村さんも硬骨漢と思っていたがねえ、やはり総理の前では だめなんだな」
「いや、保利幹事長も総理には思っとることの半分もいえんらしいよ」
と、そんな会話をかわした。
福田赳夫外相だけが佐藤のそばについていた。挨拶のスピーチを行なった。
田中角栄通産相のほうは終始 人波のなかにまじっていた。「禅譲を期待する福田と、自力独歩の田中との相違だな」という声があった。ただ この席では前尾繁三郎法相が皮肉な挨拶をした。
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佐藤は夜に予定している誕生パーティーが きわめて盛大なものになって おおいに勢威を誇示できるであろうと、そちらのほうに昂ぶった喜びを感じていた。
たしかに……その夜、公邸でもよおされたパーティーは 六百人を集めて人の波が渦を巻いた。至るところのさざめきが どよめきにちかいものになって 六百通を越えたという祝電も披露できないありさまであった。
司会役の木村武雄が千軍万馬の士にも似合わず顔を紅潮させていた。
「総理はたいへんに健康で まだまだ政権を担当できる……」
日ごろ 佐藤に率直に意見具申をしていると称する木村にしては、どうも茶坊主的発言であった。隅のほうで若手が
「木村さんも硬骨漢と思っていたがねえ、やはり総理の前では だめなんだな」
「いや、保利幹事長も総理には思っとることの半分もいえんらしいよ」
と、そんな会話をかわした。
福田赳夫外相だけが佐藤のそばについていた。挨拶のスピーチを行なった。
田中角栄通産相のほうは終始 人波のなかにまじっていた。「禅譲を期待する福田と、自力独歩の田中との相違だな」という声があった。ただ この席では前尾繁三郎法相が皮肉な挨拶をした。
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