825 俺「どうしてBなんですか?実際にあそこに行ったのは俺です」 旦「わかってるさ。でもおめぇは見えてないんだろ?」 俺「さっきから見えてるとか見えてないとか、なんなんですか?」 旦「知らん」 俺「はぁ!?」 トンチンカンなことを言う旦那さんに対して俺はイラっとした。 旦「真っ黒だってことだけだな、俺の知ってる情報は。だがなぁ・・」 そう言って旦那さんはBを見る。 旦「御祓いに行ったところで、なんもなりゃせんと思うぞ」 Bは、疑いの目を旦那さんに向けて聞いた。 B「どうしてですか?」 旦「前にもそういうことがあったからだな。でも、詳しくは言えん。」 B「行ってみなくちゃわからないですよね?」 旦「それは、そうだな」 B「だったら」 旦「それで駄目だったら、どうするつもりなんだ?」 B「・・・」 旦「見えてからは、とんでもなく早いぞ」 匿名さん2018/06/13 23:48
826 早いという言葉が何のことを言っているのか俺にはさっぱりわからなかった。 だが、旦那さんがそういった後、Bは崩れ落ちるようにして泣き出したんだ。 声にならない泣き声だった。俺とAは、傍で立ち尽くすだけで何もできなかった。 俺達の異様な雰囲気を感じ取ったのか、タクシーの窓を開けて中から運転手が話しかけてきた。 「お客さんたち大丈夫ですか?」 俺達3人は何も答えられない。 Bに限っては道路に伏せて泣いてる始末だ。 すると旦那さんが運転手に向かってこう言った。 旦「あぁ、すまんね。呼び出しておいて申し訳ないんだが、こいつらはここで降ろしてもらえるか?」 運転手は 「え?でも・・」 と言って俺達を交互に見た。 その場を無視して旦那さんはBに話しかける。 旦「俺がなんでおめぇらを追いかけてきたかわかるか? 事の発端を知る人がいる。その人のとこに連れてってやる。 もう話はしてある。すぐ来いとのことだ。 時間がねぇ。俺を信じろ」 匿名さん2018/06/13 23:493
827 肩を震わせ泣いていたBは、精一杯だったんだろうな、顔をしわくちゃにして声を詰まらせながら言った。 B「おねが・・っ・・します・・」 呼吸ができていなかった。 男泣きでもなんでもない、泣きじゃくる赤ん坊を見ているようだった。 昨日の今日だが、Bは一人で、何かものすごい大きなものを抱え込んでいたんだと思った。 あんなに泣いたBを見たのは、後にも先にもこの時だけだ。 Bのその声を聞いた俺は、運転手に言った。 俺「すいません。ここで降ります。いくらですか?」 匿名さん2018/06/13 23:55
828 その後、俺達は旦那さんの軽トラに乗り込んだ。 といっても、俺とAは後の荷台なわけで。乗り心地は史上最悪だった。 旦那さんは俺達が荷台に乗っているにも関わらず、有り得んほどにスピードを出した。 Aから軽く女々しい悲鳴を聞いたが、スルーした。 どれくらい走ったのか分からない。あんまり長くなかったんじゃないかな。 まあ正直、それどころじゃないほど尾てい骨が痛くて覚えていないだけなんだが。 着いた場所は、普通の一軒家だった。 横に小さな鳥居が立っていて石段が奥の方に続いていた。 俺達の通されたのはその家の方で、旦那さんは呼び鈴を鳴らして待っている間、俺達に「聞かれたことにだけ答えろ」と言った。 匿名さん2018/06/13 23:57
829 旦「おめぇら、口が悪いからな。変なこと言うんじゃねぇぞ」 俺は思った。この人にだけは言われる筋合いがないと。 少し待つと、家から一人の女の人が出てきた。 年は20代くらいの普通の人なんだけど、額の真ん中にでっかいホクロがあったのがすごく印象的だった。 その女の人に案内されて通されたのは家の一角にある座敷だった。 そこには一人の坊さん(僧って言うのか?)と、一人のおっさん、一人のじいさんが座っていた。 俺達が部屋に入るなり、おっさんが「禍々しい」と呟いたのが聞こえた。 旦「座れ」 旦那さんの掛け声で俺達は、坊さんたちが並んで座っている丁度向かい側に3人並んで座った。そして旦那さんがその隣に座った。 するとじいさんは口を開いた。 匿名さん2018/06/13 23:593