248 それどころか、どこの署に飛ばされるか分かったもんではない。東京といっても広いのだ。それこそ奥多摩やら、伊豆諸島にでも飛ばされたらえらいことになる。だから、みんな署長のイエスマンを(表面的に)演じざるをえないのだ。・・(署長)「ええっと。例の死体遺棄事件。平和島の。被疑者の取調べは?もう終わったんだろうね?大崎君。」(大崎)「いえ。まだです。」(署長)「なに?物証はあるし、被疑者の取調べなんて少しだけやればいいんだよ。それで、さっさと君が作文にして、被疑者の供述調書にする。それで終わりじゃないか! 匿名さん2012/10/18 01:55
249 なーにをモタモタしとるんだ君は。ダメじゃないか!」(大崎)「は。分かりました。早急に終わらせます。大変申し訳ございません。」(署長)「君は、捜査手腕には優れているようだが、仕事の効率性と事務処理能力。これが劣っているようだね?(笑)早く処理したまえ!」(大崎)「・・・は。大変申し訳ございません。」・・・署長は、次の人事異動で本庁の課長か次長ポスト。あるいは、序列上位の赤坂溜池警察署や銀座警察署の署長ポストを狙っているとの噂だ。 匿名さん2012/10/18 01:55
250 さっさと面倒くさい事件を処理し、自分の部下統率力と指導力を警視庁幹部連中に大いにアピールしたいのだろう。嫌なやつだ。が、大崎は煮えくりかえる怒りをグッとこらえ我慢する。今年で警察人生38年目。若い頃から辛抱の連続であった。ただ、それでも長年の刑事経験で磨いてきた捜査の実力。これは誰にも負けない自信がある。これが彼の誇りである。・・・・・・・会議が終わり、大崎は、3階の取調室へと向かう。 匿名さん2012/10/18 01:56
251 が、待てよ。署長の指示に反するが、被疑者である安羅木(やすらぎ)一郎の取調べに長く時間をとりたい。その後は?ああ、佐山治の公判記録だ。あれも一応最後まで読むと。う〜ん先に昼飯を食おう。そうするわ。大崎は、食堂へと足を向けたのであった。タヌキうどんとカレーライスのセット。これが大崎の昼飯だ。私服の刑事のみならず、制服警官、白バイ交通警官がわんさかと食堂に入ってくる。和気あいあいとした雰囲気だ。ちょうど、食堂の大型テレビに目をやる。 匿名さん2012/10/18 01:56
252 昼のワイドショー番組である。・・・すると、女性に大人気のタレント‘小田輝義’が画面に映る。高橋克典似の細身の長身。新宿歌舞伎町の元売れっ子ホストである。彼の売上記録はいまだ全国歴代1位の座に君臨する。伝説のカリスマホストである。5年前にホストを電撃引退。その後、みずからホストクラブ「レヨン」をプロデュース。歌舞伎町にオープンしたのだが、これが空前の大ヒット。瞬く間に2号店、3号店...と次々とホストクラブを開店していった。 匿名さん2012/10/18 01:56
253 現在は、レヨングループのオーナー社長をつとめ、女性専用エステサロン、ネイルサロン、さらに水商売関係の広告代理店業にも進出。のみならず、タレントとして、マスコミTVにも積極的に出演し、現在、4本のレギュラー番組を獲得している。『女が抱かれてみたい男ナンバーワンみたいですよ。』 大崎の隣に交通課に席をおく白バイ警官が着席する。30代前半の巡査部長で大崎と話が合う仲良しだ。(大崎)「へえ〜抱かれてみたい男ねえ。ま、たしかに小田輝義はイイ男だわな。 匿名さん2012/10/18 01:57
254 俺みたいなチンチクリンの禿げジジイからしたら羨ましいわい(笑)。」(白バイ警官)『羨ましいですよね〜女に不自由しないなんて。経営者としても超やり手みたいですし。怖いもの無しですよね。』(大崎)「あれ?隣にいるのは?」 テレビ画面を指差す大崎。(白バイ警官)『ああ、あれは...小田輝義の彼女じゃないですか?ごく最近ですよ、彼女がテレビに出始めたの。小田輝義の専属秘書を名乗ってね。綺麗な女性ですよね。いずれ2人は結婚するんじゃないですか?』 匿名さん2012/10/18 01:57
255 (大崎)「ふ〜ん。いいねまったく!こっちは馬鹿野郎の署長にムカついているってのによ!」(白バイ警官)『ははは(笑)!!!』 昼休みの品川湾岸警察署の平和なひと時であった。・・・・・・・・(続きは次回) 匿名さん2012/10/18 01:58
256 【小説】「愛の蹉跌」=第26回= その後、大崎刑事は、3階の取調室に入る。昼休み時とは別人の険しい人相だ。さっそく安羅木(やすらぎ)一郎の取調べを開始する。(大崎)「27年前に佐山治が、岡野芙美江の母を殺害した件だがね。公判記録に途中まで目を通したよ。要は、吉原エンペラーの嬢だった岡野芙美江にお前は同情したと?そういうことだな。」(安羅木)『はい。』(大崎)「それでどうなった?」(安羅木)『佐山は、それからも度々芙美江さんを指名し、店に来店しました。 匿名さん2012/10/20 15:31
257 と同時に、芙美江さんの悩みはさらに深刻になり、私が相談にのる回数が増えていきました。』(大崎)「店外で会う機会が増え、そんで男女の仲になったと?」(安羅木)『はい。』(大崎)「岡野芙美江はいま富山県にいると。お前そう言ったよな?会いに行かなかったのか?」(安羅木)『なにぶん休みが取れない仕事なもんでして。それに、しばらくそっとしておいてあげたほうがいいと思ったのです。だから彼女とは電話でのやり取りだけでした。』(大崎)「なるほど。じゃあ、佐山治殺害までの状況を詳しく話せ。 匿名さん2012/10/20 15:31