218 今回の事件では、どうであったか?神奈川県警並びに鶴見北警察の捜査報告によると、岡野宅から佐山治により現金・貴重品類が持ち去られた形跡が無かったのである。遺体発見場所の室内を荒らされたわけでもない。さらに、岡野宅から逃亡した後に、佐山治が、別の場所で窃盗などを犯したわけでもない。犯行後、鶴見医科歯科大学敷地内で確保されるまでの足取り。これが不明であったのである。つまり、犯行状況からは、佐山治を強盗殺人罪で処罰するには不十分。そういわざるを得ない。 匿名さん2012/10/06 01:50
219 検察は、佐山の犯行当時の所持金が1000円に満たなかったことから、金に困り被害者を殺害したのだ。つまり、殺害「前に」財物奪取の意思が存在した。これを立証しようと努めてきた。対して、佐山治側は、もちろん財物奪取の意思など無かったと言う。盗み目的ではなく、被害女性に対するわいせつ目的であったと猛烈な反論に打って出たのである。強盗殺人罪の法定刑は、死刑か無期懲役(刑法240条)。いずれかしかない。大変な重罪である。 匿名さん2012/10/06 01:50
220 では、殺人罪は?現在の刑法199条は、「死刑又は無期もしくは5年以上の懲役」である。強盗殺人罪と、単なる殺人罪では法定刑の重さがまるで違うのだ。なので、検察は強盗殺人が成立する!と主張するが、弁護人は、軽い殺人罪にとどまる!と反論することとなる。そして、検察が、強盗殺人罪で起訴したと。で、結局、裁判所が「いや、ただの殺人罪にとどまる。強盗殺人罪ではない。」と判断したらどうなるのか?これは、「無罪」判決が言い渡されることとなる。 匿名さん2012/10/06 01:50
221 『えっ!そんな馬鹿な!』『 たとえ強盗殺人罪の立証を検察が出来なかったとしても、被告人が殺人事件を起こしたのは事実だろう。なのに無罪?それはないだろう!』 もっともな国民感情である。ただ、裁判所は、検察が主張した起訴内容が事実かどうかを判断するだけ。これが建て前なのだ。検察が強盗殺人罪で被告人を処罰せよと主張した。だが、その立証が出来ない。となると、強盗殺人罪は無かったことになるから、→無罪となってしまう。 匿名さん2012/10/06 01:50
222 さらに、仮に、強盗殺人がダメで確定してしまうと、再度、殺人罪で被告人を起訴し直すというのは不可能なのである。やり直しはきかない。これを「一事不再理」といい、憲法39条で保障されている。しかし、それにしても、人を殺しておいて無罪。これはいかにも不都合であろう。これが通用するなら、日本国民は、司法や裁判所など信用しなくなるに違いない。このような不都合を回避するために、法は、裁判の途中で、検察官が起訴内容を変更することを認めている。 匿名さん2012/10/06 01:51
223 今回の例でいうと、強盗殺人罪から殺人罪に変更するのである。これを、専門的な用語であるが、「訴因変更」という(刑事訴訟法312条)。さて、女性裁判長は、冒頭で、『別の構成は考えられないものでしょうか?』と検察官に言った。これは、『裁判所としては、検察が主張する強盗殺人で佐山治を裁くことは出来ません。なので、殺人罪に訴因変更しなさい。』というサインなのである。訴因変更は、検察の権限である。裁判所が勝手に変更することは出来ないのだ。 匿名さん2012/10/06 01:51
224 だから、検察にサインを送ったのである。さすがは、刑事裁判にめっぽう強い亀田弁護士だ。佐山治の事件で検察の劣勢は明らかであった。しかも、被害者遺族の岡野芙美江並びに芙美江の父は、公判の進捗状況について、裁判所からも検察からも何も知らされていなかった。「何かあったら連絡します」と横浜地検の事務官から電話があり、それっきりだ。佐山治が犯した殺人事件。昭和60年(1985年)当時の日本の刑事裁判では、犯罪被害者及びその遺族の人権など無いに等しく、彼らは蚊帳の外に置かれていた。 匿名さん2012/10/06 01:51
225 そして、被害者とその遺族は、地域社会から奇異の目でみられ、マスコミの好奇心による過剰報道被害にあい、孤立していく。家族を殺害された挙句の果てにである。これを二次被害という。そう、ただただ理不尽に泣き、ひたすら涙を流すだけであった。この許しがたい理不尽。国会議員や法務省官僚、さらに社会の理不尽と闘い、人権擁護が職責であるはずの弁護士ですら皆知らんぷりであった。なぜか?それは、犯罪被害者支援活動が、彼らの「利権」や「天下り先」獲得、「収入増」に直結しないからである。・・・(次回に続く) 匿名さん2012/10/06 01:52
226 【小説】「愛の蹉跌」=第23回= 佐山治の公判に関しては、さらにもう1つの問題があった。それは、公判開始後に明らかになった事であるが、佐山治が逮捕された鶴見医科歯科大学敷地内に設置された公衆電話から、彼は自ら110番通報をしていたのだ。「不審者が敷地内」にいると通報があったのが犯行当日の午後11時頃。実は、そのわずか10分ほど前に神奈川県警・通信指令センターに「人を殺した」と連絡が入っていた。連絡をしたのは佐山治であったことが判明したのだ。 匿名さん2012/10/06 16:15
227 これは、「被疑者が誰であるか未だ明らかになっていない段階で」、「犯罪事実を申告する」こと。つまり、刑法42条1項に規定がある‘自首’にあたる。当然、弁護側は、佐山治は自首をしたのであるから、刑は減軽されるべきと主張する。強盗殺人罪で起訴されたにもかかわらず、検察による立証が困難であったため、殺人罪に訴因変更される。その上、自首が認められるとなると、さらに刑が軽くなるのだ。検察側の敗北に等しい結果となりかねない。 匿名さん2012/10/06 16:15